商売の原理原則

あんぱんを探せ

今回は、売れ筋を掴むためのヒントをお伝えしたいと思います。ファッション業界におけるAIによる売れ筋分析もそのうち普及していくでしょうが、その前に売れ筋分析の基本的な考え方をお伝えします。 皆さんのご商売の売れ筋は何でしょうか?商況は依然として厳しいですから、個別品番での売れ筋というものはなかなか生まれないかもしれません。もし、生まれたとしても「点」の現象で終わり、売れ筋という「線」までに至らないということも多いようです。 しかし、商品の動向を見ると、薄いかもしれませんが、線が生まれ、「売れ筋」になりそうな兆しが見えることがあります。大事なことは、点から線を見つける努力なのです。 前職の会社で、流通コンサルタントの先輩に教えていただいたことがあります。「単品」という概念です。単品とは、お客様の購買単位です。例えば、「アンパン」は多くのお客様の購買単位です。「アンパンが欲しいな」と思ってコンビニに行く消費者が、「○○屋のアンパンがいい」と思う消費者よりも多いのであれば「あんぱん」が単品です。言い換えれば、お客様の代替購買が可能な範囲を知るということです。そして、この単品で売れているものが売れ筋単品なのです。 さて、私たちが扱うアパレルで考えてみましょう。実はアパレルはこの「単品」の概念が、シーズンやトレンドによって新たなものが生まれ、そして商品ライフサイクルによって細分化されていくのです。例えば、春先では、インナーとして使えるフーデット・トップス売れ筋単品であったとしても、次の秋冬は、もっと細分化されるかもしないですし、違った概念で単品が生まれるかもしれないですよね。これが、ファッションビジネスと他の流通ビジネスと大きく異なる点なのです。そして、それはかつてのように送り手の都合で仕掛けることが難しくなってくるのです。 そこで、この単品のくくりをデータから分析するのがアイテム管理と品番管理の間に位置づけられる「クラス管理」です。つまりSKU、個別品番のようなミクロな分類より上位の括り(=クラス)を見つけ、そのクラスでの売上分析と対策を講じるというものです。AIなどによる分析・意思決定も今後進んでますが、全ての企業がまだ取り組めるわけでもありません。そのような場合、MD責任者や現場のデータを読む力が鍵とのなります。 小規模な店舗であれば、週に1度、売れ筋商品を持ち合って、支持されているキーワードを抽出して次週の対策を決める、複数店舗がある大所帯な企業であれば、売れ品番の絵型を抽出して作戦を練るということを行っているでしょう。 今、自店の「あんぱん」は何なのか、そしてこれからの兆しとなる「あんぱん」は何になりそうなのか、そしてそれは「いくら」で売れそうなのか、商品担当者と販売担当者でデータや動向を共有し、コミュニケーションを行うことが「クラス管理」を売上に結びつけるポイントなのです。

あんぱんを探せ

今回は、売れ筋を掴むためのヒントをお伝えしたいと思います。ファッション業界におけるAIによる売れ筋分析もそのうち普及していくでしょうが、その前に売れ筋分析の基本的な考え方をお伝えします。 皆さんのご商売の売れ筋は何でしょうか?商況は依然として厳しいですから、個別品番での売れ筋というものはなかなか生まれないかもしれません。もし、生まれたとしても「点」の現象で終わり、売れ筋という「線」までに至らないということも多いようです。 しかし、商品の動向を見ると、薄いかもしれませんが、線が生まれ、「売れ筋」になりそうな兆しが見えることがあります。大事なことは、点から線を見つける努力なのです。 前職の会社で、流通コンサルタントの先輩に教えていただいたことがあります。「単品」という概念です。単品とは、お客様の購買単位です。例えば、「アンパン」は多くのお客様の購買単位です。「アンパンが欲しいな」と思ってコンビニに行く消費者が、「○○屋のアンパンがいい」と思う消費者よりも多いのであれば「あんぱん」が単品です。言い換えれば、お客様の代替購買が可能な範囲を知るということです。そして、この単品で売れているものが売れ筋単品なのです。 さて、私たちが扱うアパレルで考えてみましょう。実はアパレルはこの「単品」の概念が、シーズンやトレンドによって新たなものが生まれ、そして商品ライフサイクルによって細分化されていくのです。例えば、春先では、インナーとして使えるフーデット・トップス売れ筋単品であったとしても、次の秋冬は、もっと細分化されるかもしないですし、違った概念で単品が生まれるかもしれないですよね。これが、ファッションビジネスと他の流通ビジネスと大きく異なる点なのです。そして、それはかつてのように送り手の都合で仕掛けることが難しくなってくるのです。 そこで、この単品のくくりをデータから分析するのがアイテム管理と品番管理の間に位置づけられる「クラス管理」です。つまりSKU、個別品番のようなミクロな分類より上位の括り(=クラス)を見つけ、そのクラスでの売上分析と対策を講じるというものです。AIなどによる分析・意思決定も今後進んでますが、全ての企業がまだ取り組めるわけでもありません。そのような場合、MD責任者や現場のデータを読む力が鍵とのなります。 小規模な店舗であれば、週に1度、売れ筋商品を持ち合って、支持されているキーワードを抽出して次週の対策を決める、複数店舗がある大所帯な企業であれば、売れ品番の絵型を抽出して作戦を練るということを行っているでしょう。 今、自店の「あんぱん」は何なのか、そしてこれからの兆しとなる「あんぱん」は何になりそうなのか、そしてそれは「いくら」で売れそうなのか、商品担当者と販売担当者でデータや動向を共有し、コミュニケーションを行うことが「クラス管理」を売上に結びつけるポイントなのです。

トレンド表流・中流・底流

トレンドには川や海と同じで表流と中流、そして底流があります。 表流は、さざなみのようなもので現れては消える流行です。メディアなどが取り上げるものはこれが多く、「来年はこれが流行る」などと言われるものはこれです。その多くはシャンパンの泡のようにはかなく消えていきます。 中流は表流より長いスパンで変わるトレンドで、多くのビジネスにおいて重要なものです。大衆が受け入れ始め広がりを見せますので、この中流の頭を掴むことが商売の基本です。 そして底流は、深海のようにゆっくりと流れるトレンドで、消耗品や実用品の多くがこのトレンドを取り入れています。  これらの流れですが、別々に流れている訳ではなく相互に影響を与えながら流れていて、それぞれの潮目が変わるタイミングを見極めて対応することが大事なのです。 そして、業界によってそれぞれの流れのタームも変わります。以前はファッションのトレンドが一番クイックと言われていますが、今はフードや飲食などもファスト化が進んでいます。一方ファッッションはトレンド追随による弊害が指摘され、スローなファッッションに注目が集まっています。 コロナ禍による価値観の変化が、トレンドのタームを変えてはいますが、表流・中流・底流という3つの流れを見極めて対応することが商売の原理原則であることは変わらないのです。

トレンド表流・中流・底流

トレンドには川や海と同じで表流と中流、そして底流があります。 表流は、さざなみのようなもので現れては消える流行です。メディアなどが取り上げるものはこれが多く、「来年はこれが流行る」などと言われるものはこれです。その多くはシャンパンの泡のようにはかなく消えていきます。 中流は表流より長いスパンで変わるトレンドで、多くのビジネスにおいて重要なものです。大衆が受け入れ始め広がりを見せますので、この中流の頭を掴むことが商売の基本です。 そして底流は、深海のようにゆっくりと流れるトレンドで、消耗品や実用品の多くがこのトレンドを取り入れています。  これらの流れですが、別々に流れている訳ではなく相互に影響を与えながら流れていて、それぞれの潮目が変わるタイミングを見極めて対応することが大事なのです。 そして、業界によってそれぞれの流れのタームも変わります。以前はファッションのトレンドが一番クイックと言われていますが、今はフードや飲食などもファスト化が進んでいます。一方ファッッションはトレンド追随による弊害が指摘され、スローなファッッションに注目が集まっています。 コロナ禍による価値観の変化が、トレンドのタームを変えてはいますが、表流・中流・底流という3つの流れを見極めて対応することが商売の原理原則であることは変わらないのです。

売上ダウン時にまずやること

現在、経営環境が非常に悪化し、先行きが見えない状況が続いています。このような時こそ、先人たちから受け継いだ「商売の原理原則」をしっかりと押さえ、MDの基礎体力向上をしていくことが必要です。この講座では、不変である「商売の原理原則」を経営環境の変化に対してどのようにセレクトショップの仕入れに適応させるかをお伝えしていきたいと思います。 第1回は「売上ダウン時にまずやること」をお話ししたいと思います。 厳しい経営環境ではありますが、売上ダウンの時に生じている問題は、いつも一緒です。「客層に商品が合致していない」のです。 現状では、多くの店で、「逃げる客」が多く、「とどまる客」、「来る客」が少なくなっているのでしょう。そのような時は、まず、「とどまる客」の発見が大事です。第一に「とどまる客」を発見しましょう。 そのためには、どの属性の顧客が「逃げているのか」「とどまっているのか」「新たに増えているのか」を把握し、対応商品をどのようにしていくのかを仮説をもって行動していくことが必要です。 ちなみに私はよく以下のようなチャートを使います。 以下に、このチャートを使った分析と対策の講じ方を説明していきます。 手順1:顧客属性を分ける 自店のお客様が、大きく何タイプに分けるかを考えてみましょう。これは、あまり細かく考えると難しくなるので、大局的に見てわける方がよいでしょう。分け方は、その店によって違いますが、以下のような方法があります。 ①性別(男、女) ②年齢層別 ③社会グループ(学生、OL、主婦、ファッション業界人、ビジネスマン、自由業など) ④ファッショングループ (ストリートカジュアル、ギャル系、お兄系、アメカジ系、トラッド系、キャリア系な、インポート系など) ⑤買い物予算額 セレクトショップでターゲットの幅を狭くしている店の場合、④のファッショングループでは分けられないことが多いので、②年齢層や③社会グループで分けるとよいでしょう。反対に、小商圏型セレクトショップでは、ひとつのファッショングループではくくれないこともありますので、その場合は④ファッショングループと②年齢層、③社会グループのどちらが自店のお客様の分類として大事なのかを見極めて分類しましょう。 手順2:顧客属性別構成比の算出 会社や店舗で、すでに分類を決めて、その構成比がでていて、そしてその分類が実情と異ならないのであれば、そのままあてはめればよいでしょう。 もし、そのような環境ではなかったり、実情と異なったりする場合は、販売スタッフへのヒアリングや、一定期間の客数を仮説の属性別にカウントしてみましょう。可能であれば、買い上げ客数だけでなく、来店客数をカウントすると、対策を講じる際に有効な情報となるでしょう。 手順3:商品属性のあてこみ 手順1で分類した顧客属性別に、それらのお客様がお買い上げいただいている商品群(アイテムやテイストなど)をあてはめましょう。セレクトショップの場合、取りあつかいブランドをあてはめることが多いですね。 手順4:売上動向の分析 手順1~3までの段階で把握した、それぞれの顧客・商品属性別に売上が伸びているのかどうかを把握します。昨年より伸びているのか、先月より伸びているのか、どうかを記入します。 定量的に把握できる場合、データを添付し、もし困難な場合は、販売スタッフへのヒアリングから判断します。 手順5:集中すべき属性を発見する 最も大事なのは、「伸びている顧客・商品属性」をもっと伸ばすために、拡充させることです。もし、どの顧客商品属性も伸びていないのであれば、手順1~4をもう一度見直し、伸びている「顧客・商品属性」を見つける努力をしてみましょう。 もし、どのような切り口で「顧客・商品属性」を分類しても、伸びているものがなかった場合、客数が最も多い顧客属性の中で、伸びている商品属性がないかを見つけることをします。 手順6:売場展開に活かす 集中すべき属性をもっと伸ばせるような売場になっているかを確認してみましょう。まずは店頭で、それが伝わっているかを確認しましょう。ウィーンドーや、店内VPはきちんと集中すべき属性のものが展示されていますか?「まあ、できている」というレベルでは、お客様には伝わりません。商品展開量を増やす、POPをつける、などインパクトを与えるよう努力をしましょう。 そして、販売スタッフのセールスがしっかりと行えるよう、相互コーディネートプレイや、商品勉強会(セリングポイントと伝え方)を行っていきましょう。...

売上ダウン時にまずやること

現在、経営環境が非常に悪化し、先行きが見えない状況が続いています。このような時こそ、先人たちから受け継いだ「商売の原理原則」をしっかりと押さえ、MDの基礎体力向上をしていくことが必要です。この講座では、不変である「商売の原理原則」を経営環境の変化に対してどのようにセレクトショップの仕入れに適応させるかをお伝えしていきたいと思います。 第1回は「売上ダウン時にまずやること」をお話ししたいと思います。 厳しい経営環境ではありますが、売上ダウンの時に生じている問題は、いつも一緒です。「客層に商品が合致していない」のです。 現状では、多くの店で、「逃げる客」が多く、「とどまる客」、「来る客」が少なくなっているのでしょう。そのような時は、まず、「とどまる客」の発見が大事です。第一に「とどまる客」を発見しましょう。 そのためには、どの属性の顧客が「逃げているのか」「とどまっているのか」「新たに増えているのか」を把握し、対応商品をどのようにしていくのかを仮説をもって行動していくことが必要です。 ちなみに私はよく以下のようなチャートを使います。 以下に、このチャートを使った分析と対策の講じ方を説明していきます。 手順1:顧客属性を分ける 自店のお客様が、大きく何タイプに分けるかを考えてみましょう。これは、あまり細かく考えると難しくなるので、大局的に見てわける方がよいでしょう。分け方は、その店によって違いますが、以下のような方法があります。 ①性別(男、女) ②年齢層別 ③社会グループ(学生、OL、主婦、ファッション業界人、ビジネスマン、自由業など) ④ファッショングループ (ストリートカジュアル、ギャル系、お兄系、アメカジ系、トラッド系、キャリア系な、インポート系など) ⑤買い物予算額 セレクトショップでターゲットの幅を狭くしている店の場合、④のファッショングループでは分けられないことが多いので、②年齢層や③社会グループで分けるとよいでしょう。反対に、小商圏型セレクトショップでは、ひとつのファッショングループではくくれないこともありますので、その場合は④ファッショングループと②年齢層、③社会グループのどちらが自店のお客様の分類として大事なのかを見極めて分類しましょう。 手順2:顧客属性別構成比の算出 会社や店舗で、すでに分類を決めて、その構成比がでていて、そしてその分類が実情と異ならないのであれば、そのままあてはめればよいでしょう。 もし、そのような環境ではなかったり、実情と異なったりする場合は、販売スタッフへのヒアリングや、一定期間の客数を仮説の属性別にカウントしてみましょう。可能であれば、買い上げ客数だけでなく、来店客数をカウントすると、対策を講じる際に有効な情報となるでしょう。 手順3:商品属性のあてこみ 手順1で分類した顧客属性別に、それらのお客様がお買い上げいただいている商品群(アイテムやテイストなど)をあてはめましょう。セレクトショップの場合、取りあつかいブランドをあてはめることが多いですね。 手順4:売上動向の分析 手順1~3までの段階で把握した、それぞれの顧客・商品属性別に売上が伸びているのかどうかを把握します。昨年より伸びているのか、先月より伸びているのか、どうかを記入します。 定量的に把握できる場合、データを添付し、もし困難な場合は、販売スタッフへのヒアリングから判断します。 手順5:集中すべき属性を発見する 最も大事なのは、「伸びている顧客・商品属性」をもっと伸ばすために、拡充させることです。もし、どの顧客商品属性も伸びていないのであれば、手順1~4をもう一度見直し、伸びている「顧客・商品属性」を見つける努力をしてみましょう。 もし、どのような切り口で「顧客・商品属性」を分類しても、伸びているものがなかった場合、客数が最も多い顧客属性の中で、伸びている商品属性がないかを見つけることをします。 手順6:売場展開に活かす 集中すべき属性をもっと伸ばせるような売場になっているかを確認してみましょう。まずは店頭で、それが伝わっているかを確認しましょう。ウィーンドーや、店内VPはきちんと集中すべき属性のものが展示されていますか?「まあ、できている」というレベルでは、お客様には伝わりません。商品展開量を増やす、POPをつける、などインパクトを与えるよう努力をしましょう。 そして、販売スタッフのセールスがしっかりと行えるよう、相互コーディネートプレイや、商品勉強会(セリングポイントと伝え方)を行っていきましょう。...

来る店、行く店、さばく

AI接客、パーソナルショッピング、声がけ不要バッグ・・・と、接客について色々な取り組みが生まれています。今日は久しぶりに、店づくり、接客について考えてみたいと思います。   自分専門家の時代、「アプローチされなくても買い物できる」と思っている消費者も多い一方、売上を上げなければならない企業とのせめぎ合いから色々と取り組みなされいるのだと思うのです。   コンサルティングでお邪魔している企業の皆様も、大変悩んでいます。   その時に、思い浮かぶのが「行く店・来る店・さばく店」という言葉。これは前職で教えてもらったもの。客数と接客スタイルの関連性を言い表した言葉です。   「行く店」というのは、「店から行かなければならない」という意味で、客数がとても少ない店のあり方を表しています。イメージとしては、買い上げ率25%以上の店でしょうか。代表的なのは、地方の専門店でしょう。このような店は、完全顧客対応が必要です。顧客の顔を思い浮かべて仕入れをしたり、顧客向けイベントを行って価値観共有をしたりして、顧客と共に生きて行く店です。だいたい気持ちの良いお声がけができ、そして会話も弾んで、良い買い物ができます。   今は、このような店はだいぶ少なくなってきました。このような店が生き残るのが難しい世の中になったのでしょう。しかし、今、地方では、厳しい環境に生き残ったため、素晴らしい対応をする店と出会えます。私が地方に行く楽しみの一つです。また、このような地方の専門店だけでなく、ブームに乗っていないラグジュアリーブランドの路面店、百貨店の大人対象店なども、今やこのタイプになると思います。このタイプが陥りやすいのが、顧客偏重の対応です。顧客はどんどん卒業していきますので、新規客を魅了するための取り組みが必要です。そのためには、ブログやSNSで自店のポリシーと発信し、来店前の期待と来店後の満足を高めること、あと新規客の視点での店づくりをしていくことでしょう。   「来る店」というのが、SCやファッションビルにあるお店などです。イメージとしては買い上げ率10%から25%未満でしょうか。これらの店は、お声がけモレが起きやすい店ですので、アプローチ強化という命題が掲げられることも多いでしょう。しかし、悩みが多いのもこのタイプ。「さばく店」ほど来店客数が多くなく、「行く店」ほど店頭対応力がない。そのような場合は、自店の客数が減少傾向にあるのか増加傾向にあるのかということを見極め、「行く店」「さばく店」の対応手法で導入できる部分を入れると良いのではないかと思います。   「さばく店」というのは、入店客数の大変多い店で、買い上げ率10%未満、多くは5%前後ぐらいではないでしょうか。人気のグローバルSPA、集客力のある百貨店の一等地ショップなどがまさにそうでしょう。この「さばく店」は、人的対応に頼らない店づくりを行うことが多いようです。海外の低価格店舗などはこれに徹しています。例えば、ユニクロはアプローチなどをすることはないですが、笑顔や基本動作、レジ対応などで感じの良さを伝達して、同じタイプの中で差異性を発揮しています。また、海外では、パーソナルショッピングなど「行く店」の手法を取り入れいているSPA店舗もあったりします。これまでの「さばく」だけでなく、「行く店」の良いところをデジタルの力で導入するようになって行くのでしょう。   実は今は「行く店」の良いところをどのようにできるかを考えている企業が多いのです。単純作業は、仕組みで解決し、店の本来価値であるサービスを人の力で対応しようとしているのです。   消費者や販売スタッフの意識の変化、店内業務の改善、人手不足など様々な課題はありますが、「人的サービス不要」みたいな論調で、いろいろ言われるのはやはり違和感を覚える次第です。

来る店、行く店、さばく

AI接客、パーソナルショッピング、声がけ不要バッグ・・・と、接客について色々な取り組みが生まれています。今日は久しぶりに、店づくり、接客について考えてみたいと思います。   自分専門家の時代、「アプローチされなくても買い物できる」と思っている消費者も多い一方、売上を上げなければならない企業とのせめぎ合いから色々と取り組みなされいるのだと思うのです。   コンサルティングでお邪魔している企業の皆様も、大変悩んでいます。   その時に、思い浮かぶのが「行く店・来る店・さばく店」という言葉。これは前職で教えてもらったもの。客数と接客スタイルの関連性を言い表した言葉です。   「行く店」というのは、「店から行かなければならない」という意味で、客数がとても少ない店のあり方を表しています。イメージとしては、買い上げ率25%以上の店でしょうか。代表的なのは、地方の専門店でしょう。このような店は、完全顧客対応が必要です。顧客の顔を思い浮かべて仕入れをしたり、顧客向けイベントを行って価値観共有をしたりして、顧客と共に生きて行く店です。だいたい気持ちの良いお声がけができ、そして会話も弾んで、良い買い物ができます。   今は、このような店はだいぶ少なくなってきました。このような店が生き残るのが難しい世の中になったのでしょう。しかし、今、地方では、厳しい環境に生き残ったため、素晴らしい対応をする店と出会えます。私が地方に行く楽しみの一つです。また、このような地方の専門店だけでなく、ブームに乗っていないラグジュアリーブランドの路面店、百貨店の大人対象店なども、今やこのタイプになると思います。このタイプが陥りやすいのが、顧客偏重の対応です。顧客はどんどん卒業していきますので、新規客を魅了するための取り組みが必要です。そのためには、ブログやSNSで自店のポリシーと発信し、来店前の期待と来店後の満足を高めること、あと新規客の視点での店づくりをしていくことでしょう。   「来る店」というのが、SCやファッションビルにあるお店などです。イメージとしては買い上げ率10%から25%未満でしょうか。これらの店は、お声がけモレが起きやすい店ですので、アプローチ強化という命題が掲げられることも多いでしょう。しかし、悩みが多いのもこのタイプ。「さばく店」ほど来店客数が多くなく、「行く店」ほど店頭対応力がない。そのような場合は、自店の客数が減少傾向にあるのか増加傾向にあるのかということを見極め、「行く店」「さばく店」の対応手法で導入できる部分を入れると良いのではないかと思います。   「さばく店」というのは、入店客数の大変多い店で、買い上げ率10%未満、多くは5%前後ぐらいではないでしょうか。人気のグローバルSPA、集客力のある百貨店の一等地ショップなどがまさにそうでしょう。この「さばく店」は、人的対応に頼らない店づくりを行うことが多いようです。海外の低価格店舗などはこれに徹しています。例えば、ユニクロはアプローチなどをすることはないですが、笑顔や基本動作、レジ対応などで感じの良さを伝達して、同じタイプの中で差異性を発揮しています。また、海外では、パーソナルショッピングなど「行く店」の手法を取り入れいているSPA店舗もあったりします。これまでの「さばく」だけでなく、「行く店」の良いところをデジタルの力で導入するようになって行くのでしょう。   実は今は「行く店」の良いところをどのようにできるかを考えている企業が多いのです。単純作業は、仕組みで解決し、店の本来価値であるサービスを人の力で対応しようとしているのです。   消費者や販売スタッフの意識の変化、店内業務の改善、人手不足など様々な課題はありますが、「人的サービス不要」みたいな論調で、いろいろ言われるのはやはり違和感を覚える次第です。

呉服屋商売と八百屋商売

本日は、商売の形について話をしていきたいと思います。小売にとって、自店の商売の形を知るのに、重要な指標が交差主義比率です。交差主義比率は、「粗利率×回転率」ですが、この粗利率と回転率のバランスが商売の形を示しています。 わたしは「呉服屋商売」と、「八百屋商売」という2つの商売の形があると思います。 「呉服屋商売」とは、回転率は低く、粗利が高い商売です。独自性のある商品を提供し、付加価値として、高い値入をするということです。ラグジュアリーブランドなどのブランド直営モデルがこの代表です。今は、D2Cプレイヤーがこのビジネスモデルで存在感を増しています。 反対に「八百屋」商売とは、粗利は低いけれど、回転率が高いという商売です。いわゆる薄利多売というものです。こういうと聞こえが悪いですが、常に新鮮な商売ができているということです。衣料スーパー、ディスカウントストアなどがこのモデルです。 もちろん、「粗利率」「回転率」ともに高いのが、最もよいのですが、それを追求したのが、SPAですね。 セレクトショップなどは、その商品構成などによって商品の形が変わります。なので、自店がどちらの商売の形なのかを捉えるとともに、自店の商品構成の中に、2つの商売の形が混在していますので、アイテムやブランド別に分析をしていくことが必要です。どのアイテム(もしくはブランド)が、「呉服屋」なのか、それとも「八百屋」なのかを見極め、「呉服屋商売」と「八百屋商売」の構成比を決めていくということです。インポートブランド、ファクトリーブランド、重衣料などは「呉服屋商売」、機動力のある当座買いメーカーや軽衣料が「八百屋商売」であることが多いようです。 「八百屋商売」の色を強める(=回転率をあげる)ということは、頻度品、客数アップを狙うということになりますから、軽衣料を中心とした「単品」比率が高まります。しかし、それだけでは、単価ダウンになりますから、「単品組み合わせ」のスタイリングを打ち出すことが必要となります。また、回転率があがるということは、商品投入回数を増やすということですから、高頻度仕入が可能な仕入先を増やしていかなければいけません。 そして「呉服屋商売」の色を強める(=粗利をあげる)ということは、目的品、単価アップを狙うということになりますから、「ブランド品」「高額品」「重衣料」の比率が高まります。スタイリングとしては「大人」「高級」もしくは「個性」を意識したものになります。 1年ぐらいまでは、この傾向の仕入れをしていた店が多かったですよね。時流に乗ったブランドを、よい条件で取引できる店は、よいのですが、今の景況からすると、自店に独自性を見出してくれる顧客数を確保できていることが、最大の前提条件となります。 しっかりと自店の「商売の形」を知り、戦略的な仕入れを行っていきましょう。

呉服屋商売と八百屋商売

本日は、商売の形について話をしていきたいと思います。小売にとって、自店の商売の形を知るのに、重要な指標が交差主義比率です。交差主義比率は、「粗利率×回転率」ですが、この粗利率と回転率のバランスが商売の形を示しています。 わたしは「呉服屋商売」と、「八百屋商売」という2つの商売の形があると思います。 「呉服屋商売」とは、回転率は低く、粗利が高い商売です。独自性のある商品を提供し、付加価値として、高い値入をするということです。ラグジュアリーブランドなどのブランド直営モデルがこの代表です。今は、D2Cプレイヤーがこのビジネスモデルで存在感を増しています。 反対に「八百屋」商売とは、粗利は低いけれど、回転率が高いという商売です。いわゆる薄利多売というものです。こういうと聞こえが悪いですが、常に新鮮な商売ができているということです。衣料スーパー、ディスカウントストアなどがこのモデルです。 もちろん、「粗利率」「回転率」ともに高いのが、最もよいのですが、それを追求したのが、SPAですね。 セレクトショップなどは、その商品構成などによって商品の形が変わります。なので、自店がどちらの商売の形なのかを捉えるとともに、自店の商品構成の中に、2つの商売の形が混在していますので、アイテムやブランド別に分析をしていくことが必要です。どのアイテム(もしくはブランド)が、「呉服屋」なのか、それとも「八百屋」なのかを見極め、「呉服屋商売」と「八百屋商売」の構成比を決めていくということです。インポートブランド、ファクトリーブランド、重衣料などは「呉服屋商売」、機動力のある当座買いメーカーや軽衣料が「八百屋商売」であることが多いようです。 「八百屋商売」の色を強める(=回転率をあげる)ということは、頻度品、客数アップを狙うということになりますから、軽衣料を中心とした「単品」比率が高まります。しかし、それだけでは、単価ダウンになりますから、「単品組み合わせ」のスタイリングを打ち出すことが必要となります。また、回転率があがるということは、商品投入回数を増やすということですから、高頻度仕入が可能な仕入先を増やしていかなければいけません。 そして「呉服屋商売」の色を強める(=粗利をあげる)ということは、目的品、単価アップを狙うということになりますから、「ブランド品」「高額品」「重衣料」の比率が高まります。スタイリングとしては「大人」「高級」もしくは「個性」を意識したものになります。 1年ぐらいまでは、この傾向の仕入れをしていた店が多かったですよね。時流に乗ったブランドを、よい条件で取引できる店は、よいのですが、今の景況からすると、自店に独自性を見出してくれる顧客数を確保できていることが、最大の前提条件となります。 しっかりと自店の「商売の形」を知り、戦略的な仕入れを行っていきましょう。