来る店、行く店、さばく

AI接客、パーソナルショッピング、声がけ不要バッグ・・・と、接客について色々な取り組みが生まれています。今日は久しぶりに、店づくり、接客について考えてみたいと思います。

 

自分専門家の時代、「アプローチされなくても買い物できる」と思っている消費者も多い一方、売上を上げなければならない企業とのせめぎ合いから色々と取り組みなされいるのだと思うのです。

 

コンサルティングでお邪魔している企業の皆様も、大変悩んでいます。

 

その時に、思い浮かぶのが「行く店・来る店・さばく店」という言葉。これは前職で教えてもらったもの。客数と接客スタイルの関連性を言い表した言葉です。

 

「行く店」というのは、「店から行かなければならない」という意味で、客数がとても少ない店のあり方を表しています。イメージとしては、買い上げ率25%以上の店でしょうか。代表的なのは、地方の専門店でしょう。このような店は、完全顧客対応が必要です。顧客の顔を思い浮かべて仕入れをしたり、顧客向けイベントを行って価値観共有をしたりして、顧客と共に生きて行く店です。だいたい気持ちの良いお声がけができ、そして会話も弾んで、良い買い物ができます。

 

今は、このような店はだいぶ少なくなってきました。このような店が生き残るのが難しい世の中になったのでしょう。しかし、今、地方では、厳しい環境に生き残ったため、素晴らしい対応をする店と出会えます。私が地方に行く楽しみの一つです。また、このような地方の専門店だけでなく、ブームに乗っていないラグジュアリーブランドの路面店、百貨店の大人対象店なども、今やこのタイプになると思います。このタイプが陥りやすいのが、顧客偏重の対応です。顧客はどんどん卒業していきますので、新規客を魅了するための取り組みが必要です。そのためには、ブログやSNSで自店のポリシーと発信し、来店前の期待と来店後の満足を高めること、あと新規客の視点での店づくりをしていくことでしょう。

 

「来る店」というのが、SCやファッションビルにあるお店などです。イメージとしては買い上げ率10%から25%未満でしょうか。これらの店は、お声がけモレが起きやすい店ですので、アプローチ強化という命題が掲げられることも多いでしょう。しかし、悩みが多いのもこのタイプ。「さばく店」ほど来店客数が多くなく、「行く店」ほど店頭対応力がない。そのような場合は、自店の客数が減少傾向にあるのか増加傾向にあるのかということを見極め、「行く店」「さばく店」の対応手法で導入できる部分を入れると良いのではないかと思います。

 

「さばく店」というのは、入店客数の大変多い店で、買い上げ率10%未満、多くは5%前後ぐらいではないでしょうか。人気のグローバルSPA、集客力のある百貨店の一等地ショップなどがまさにそうでしょう。この「さばく店」は、人的対応に頼らない店づくりを行うことが多いようです。海外の低価格店舗などはこれに徹しています。例えば、ユニクロはアプローチなどをすることはないですが、笑顔や基本動作、レジ対応などで感じの良さを伝達して、同じタイプの中で差異性を発揮しています。また、海外では、パーソナルショッピングなど「行く店」の手法を取り入れいているSPA店舗もあったりします。これまでの「さばく」だけでなく、「行く店」の良いところをデジタルの力で導入するようになって行くのでしょう。

 

実は今は「行く店」の良いところをどのようにできるかを考えている企業が多いのです。単純作業は、仕組みで解決し、店の本来価値であるサービスを人の力で対応しようとしているのです。

 

消費者や販売スタッフの意識の変化、店内業務の改善、人手不足など様々な課題はありますが、「人的サービス不要」みたいな論調で、いろいろ言われるのはやはり違和感を覚える次第です。

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