山中コンサルティングオフィス

Fashion Business Column



【ファッションビジネス 商売の原理原則】あんぱんを探せ

今回は、売れ筋を掴むためのヒントをお伝えしたいと思います。ファッション業界におけるAIによる売れ筋分析もそのうち普及していくでしょうが、その前に売れ筋分析の基本的な考え方をお伝えします。

皆さんのご商売の売れ筋は何でしょうか?商況は依然として厳しいですから、個別品番での売れ筋というものはなかなか生まれないかもしれません。もし、生まれたとしても「点」の現象で終わり、売れ筋という「線」までに至らないということも多いようです。

しかし、商品の動向を見ると、薄いかもしれませんが、線が生まれ、「売れ筋」になりそうな兆しが見えることがあります。大事なことは、点から線を見つける努力なのです。

前職の会社で、流通コンサルタントの先輩に教えていただいたことがあります。「単品」という概念です。単品とは、お客様の購買単位です。例えば、「アンパン」は多くのお客様の購買単位です。「アンパンが欲しいな」と思ってコンビニに行く消費者が、「○○屋のアンパンがいい」と思う消費者よりも多いのであれば「あんぱん」が単品です。言い換えれば、お客様の代替購買が可能な範囲を知るということです。そして、この単品で売れているものが売れ筋単品なのです。

さて、私たちが扱うアパレルで考えてみましょう。実はアパレルはこの「単品」の概念が、シーズンやトレンドによって新たなものが生まれ、そして商品ライフサイクルによって細分化されていくのです。例えば、春先では、インナーとして使えるフーデット・トップス売れ筋単品であったとしても、次の秋冬は、もっと細分化されるかもしないですし、違った概念で単品が生まれるかもしれないですよね。これが、ファッションビジネスと他の流通ビジネスと大きく異なる点なのです。そして、それはかつてのように送り手の都合で仕掛けることが難しくなってくるのです。

そこで、この単品のくくりをデータから分析するのがアイテム管理と品番管理の間に位置づけられる「クラス管理」です。つまりSKU、個別品番のようなミクロな分類より上位の括り(=クラス)を見つけ、そのクラスでの売上分析と対策を講じるというものです。AIなどによる分析・意思決定も今後進んでますが、全ての企業がまだ取り組めるわけでもありません。そのような場合、MD責任者や現場のデータを読む力が鍵とのなります。

小規模な店舗であれば、週に1度、売れ筋商品を持ち合って、支持されているキーワードを抽出して次週の対策を決める、複数店舗がある大所帯な企業であれば、売れ品番の絵型を抽出して作戦を練るということを行っているでしょう。

今、自店の「あんぱん」は何なのか、そしてこれからの兆しとなる「あんぱん」は何になりそうなのか、そしてそれは「いくら」で売れそうなのか、商品担当者と販売担当者でデータや動向を共有し、コミュニケーションを行うことが「クラス管理」を売上に結びつけるポイントなのです。

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【ファッションビジネス 商売の原理原則】呉服屋商売と八百屋商売

本日は、商売の形について話をしていきたいと思います。小売にとって、自店の商売の形を知るのに、重要な指標が交差主義比率です。交差主義比率は、「粗利率×回転率」ですが、この粗利率と回転率のバランスが商売の形を示しています。

わたしは「呉服屋商売」と、「八百屋商売」という2つの商売の形があると思います。

「呉服屋商売」とは、回転率は低く、粗利が高い商売です。独自性のある商品を提供し、付加価値として、高い値入をするということです。ラグジュアリーブランドなどのブランド直営モデルがこの代表です。今は、D2Cプレイヤーがこのビジネスモデルで存在感を増しています。

反対に「八百屋」商売とは、粗利は低いけれど、回転率が高いという商売です。いわゆる薄利多売というものです。こういうと聞こえが悪いですが、常に新鮮な商売ができているということです。衣料スーパー、ディスカウントストアなどがこのモデルです。

もちろん、「粗利率」「回転率」ともに高いのが、最もよいのですが、それを追求したのが、SPAですね。

セレクトショップなどは、その商品構成などによって商品の形が変わります。なので、自店がどちらの商売の形なのかを捉えるとともに、自店の商品構成の中に、2つの商売の形が混在していますので、アイテムやブランド別に分析をしていくことが必要です。どのアイテム(もしくはブランド)が、「呉服屋」なのか、それとも「八百屋」なのかを見極め、「呉服屋商売」と「八百屋商売」の構成比を決めていくということです。インポートブランド、ファクトリーブランド、重衣料などは「呉服屋商売」、機動力のある当座買いメーカーや軽衣料が「八百屋商売」であることが多いようです。

「八百屋商売」の色を強める(=回転率をあげる)ということは、頻度品、客数アップを狙うということになりますから、軽衣料を中心とした「単品」比率が高まります。しかし、それだけでは、単価ダウンになりますから、「単品組み合わせ」のスタイリングを打ち出すことが必要となります。また、回転率があがるということは、商品投入回数を増やすということですから、高頻度仕入が可能な仕入先を増やしていかなければいけません。

そして「呉服屋商売」の色を強める(=粗利をあげる)ということは、目的品、単価アップを狙うということになりますから、「ブランド品」「高額品」「重衣料」の比率が高まります。スタイリングとしては「大人」「高級」もしくは「個性」を意識したものになります。
1年ぐらいまでは、この傾向の仕入れをしていた店が多かったですよね。時流に乗ったブランドを、よい条件で取引できる店は、よいのですが、今の景況からすると、自店に独自性を見出してくれる顧客数を確保できていることが、最大の前提条件となります。

しっかりと自店の「商売の形」を知り、戦略的な仕入れを行っていきましょう。

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【ファッションビジネス 商売の原理原則】セレクトショップ上が売れる店、下が売れる店

本日もセレクトショップの品揃えについて考えたいと思います。

セレクトショップには、「上が売れる店」「中が売れる店」「下が売れる店」があります

ここで言う、上・中・下とは、自店の取扱い商品の価格帯のことです。通常は「中」が、売れるものですが、「上」や「下」に売上が偏る店もあります。このような店は、売上の不安定さ、収益性の悪さなどの課題を抱えていることが多いようです。そのような店の対策方法の例を紹介していきましょう。

「上が売れる店」は、自店の取扱商品で上位の価格帯が売れる傾向がある店です。

このような店は、集客力のあるパワーブランドを持っている場合が多いようです。そのブランドが入荷するや否や売れてしまうような店ですね。そしてそのブランドの在庫が切れると売上がダウンしてしまいます。

すなわち特定のブランドに依存してしまっているのです。ストリートトレンドの中ロゴアイテム人気が続く今、このような店は多いかもしれません。

仕入元との関係性が非常に強く、自店の販売力がある場合には大丈夫でしょうが、多くの場合、パワーブランドほど、力をつけて、直営店展開や、百貨店展開などを目指し、自店を卒業していきます。これは、セレクトショップという業態の運命です。

なので、ブランドは卒業していくものと考え、自店の独自属性を、反映させ、自店のセレクト・企画力などに共感していただけるようなお客様を増やしていくことが必要でしょう。

続いて「下が売れる店」の話です。

本来売りたい価格が通らず、価格政策が崩れている場合に多いようです。「客数アップ商品」として、ワゴン展開や、期中セール展開などで、用意した商品が売れているというパターンです。今は、セカンドハンド(古着)やスーベニア(ノベルティや付録を販売)などを取り入れているケースも多いですね。

このようなお店の悩みは、「顧客づくり」でしょう。価格に反応されるだけのお客様は、もっと安い価格に流れやすい傾向にあります。そのため固定客化しにくいのです。

上価格にきちんと顧客がついていれば別ですが、下ばかりで商売するには、常に下価格で鮮度の高い商品を用意していかなければなりません。機動力と収益性があればよいのですが、なかなか長くは続きません。

説得力のある中価格を用意し、中価格の価値をしっかりと伝える小イベントなどを常に実施し、固定客化をしていくことが必要でしょう。

「中価格」が売れるというのは、自店にロイヤルティを感じていただいているお客様が多いということです。そのようなお客様は自店にとってかけがえなのない資産なのです。そのようなお客様をしっかりと固定客化できていれば、怖いものはないですよね。

みなさまのお客様は、「自店のセレクト目当て」ですか?「アイコン目当て」ですか?それとも「ディスカウント目当て」でしょうか?

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【ファッションビジネス 商売の原理原則】セレクトショップのブランド構成について

今回はセレクトショップのブランド構成についてお伝えします。

私は、ブランド構成を「提案区分×価格帯」で捉えることをすすめています。提案区分とは、顧客属性にそって分類されたその売場の上位分類です。この講座の初回でもお伝えしましたが、この分類を決めることが、お店のコンセプトを決めることにつながります。

メンズ、レディスといったジェンダー分類、フォーマルオケージョン、アクティブシーンといったシーン分類、アイテム別分類、テイスト分類、ワードローブ分類・・・・。

セレクトショップは、幾層もの階層となって分類がありますが、顧客の選択範囲の最小範囲で、上・中・下のブランドを構成するのが原理原則です。

上のブランド(私はベターゾーンブランドと呼んでいます)に期待したいのは、その提案力です。
ファッション消費は、これまでの商品を心理的陳腐化させることで行われていることは、時代が変わっても一緒です。なので、新しさを訴求させる提案力があるブランドをベターゾーンブランドとして位置づけます。

ここで、注意してほしいのは、いくら提案力があっても、自店の販売力以上のものを導入しないことです。展示会などでは、それぞれのブランドが世界感を構築していて、魅了されがちですが、自店の立地、客層、販売スタッフの販売力を考えて、発注することが必要でしょう。

中~下のブランド(ボリュームゾーン、サービスゾーン)に求められるのは機動力です。シーズンが細分化されており、リードタイムが短く、フォローもきくブランドをしっかりとつかまえるこが重要です。年を追うごとにファッションのトレンドは偶発的になり、かつ、生活者も本当に必要なものしか購買しなくなっています。ストリートや店頭のトレンドをキャッチし、クィックに生産できるメーカーとどれだけ多く、そして深く、取組みができるのかということが、売上を大きく左右するようになっています。

なので、これらの機動力のあるブランドに予算を増やすことが必要です。インポートブランドをはじめとするベターゾーンブランドは展示会が早いのが特徴ですが、あまりベターゾーンに仕入枠を割いてしまうと、このような機動力のあるブランドにまわす仕入予算がなくなってしまいますので注意が必要でしょう。

ボリュームゾーン~サービスゾーンのブランドで気を付けたいのが、ベターゾーンとの連動です。きちんと上中下の提案が連動できるようなブランドを構成することが気をつけたいです。

セレクトショップというのは、パスタ料理のようなものです。ソースがベターゾーンで、パスタがボリューム~サービスゾーンです。ソースがどんなにおいしくても、パスタが少なかったり、ソースに合わなかったりするとお腹が膨れません。また、パスタばかり多くて、ソースが少なかったり、パンチに欠ける味だったりすると、再び注文する気になりません。

顧客を魅了し、利益を生むためには、提案区分別の上中下のバランスをとることが必要なのです。

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【ファッションビジネス 商売の原理原則】経営環境と価格幅

プライスMDでの悩める点として、「価格幅をどれだけもつか」というものがあります。価格幅は絞りこんだ方が効率はよいのですが、絞りこみすぎるとチャンスロスが起きる恐れもあります。

価格幅は、店舗の経営環境によって変える必要です。考慮すべきポイントとして以下の3点があります。

1.商圏人口
2.取扱商品の購買頻度
3.商圏内における自店のポジション

の3点です。

順に説明してまいります。

1.「商圏人口が多ければ価格幅を狭く、商圏人口が少なければ価格幅を広く」
商圏人口が多い店舗は、価格幅を狭くもち、自店の得意とする価格帯に集中することが必要です。なぜなら、商圏人口が多いということは、競合相手が多いということです。このような競合環境が激しい状況では、お客様がそれぞれのブランドや店舗に対して買い頃価格を決めていることが多いのです。そのため、自店への期待が多い価格へ集中することが必要なのです。逆に商圏人口が少ない場合は、競合店が少ないことが多く、周辺住民の期待が自店へ強まりますので、幅広い価格の商品を求められることが多いのです。

2.「取扱商品の購買頻度が高ければ狭く、低ければ広く」
購買頻度が高い商品を扱っているのであれば、お客様の買い頃価格が決まってきますので、価格幅を絞りこむことができます。ただし、購買頻度が低くなるとお客様の買い頃価格が定まりにくくなるため、幅広く持つことが必要になります。例えば、ドレスシャツよりシューズ、キャミソールよりフォーマルドレスの方が価格幅を広く持つ必要があります。

3.「自店のロイヤルティが高ければ価格幅を広げられる」
商圏内一番店になることができれば、価格幅を広げることができます。一番店になれば、フリー客の来店が増えます。「新宿だったら伊勢丹」、「恵比寿でOL系だったらアトレ」というように、初来街の方でも頭の中に思い浮かぶような存在になると、幅広い層のフリー客を集客できます。そのような存在になれば、幅広い価格帯を取りそろえることができるでしょう。逆に、まだ知名度が低い段階であれば、自店の既存顧客が支持していだいている価格帯をしっかりと取り揃え、価格幅は絞りこみ、店の成長に合わせて広げていくことが得策です。

自店の商圏、取扱商品の購買頻度、そして商圏内における自店のポジションを冷静に見極め、一番支持していただいている価格を軸に広げるべきか、絞りこむべきかを決定していきましょう。

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【ファッションビジネス 商売の原理原則】プライスMDの原理原則とは

本日は「プライスMD」の原理原則をお伝えしたいと思います。
ポイントは、以下の2点です

1.自店の支持されている価格を知る

2.自店の支持されている価格に上下をつける

それぞれ、具体的に説明しますね。

1.自店の支持されている価格を知る

(1)自店の支持されている価格とは
シーズンを通して最も販売数量の多い価格をアイテム別に探してみましょう。その価格が自店の支持されている価格です。お客様は潜在的に「自分自身の買い物予算」と「それぞれのブランド(店)の買い頃価格」を、大まかにもっています。購買経験の高いアイテムであれば、あるほど、その傾向は強まります。Tシャツや下着などの購買頻度と購買経験の高い商品にはその傾向が強いのは、実感されるでしょう。

(2)用途が異なれば買い頃価格は異なる
しかし、同じアイテムでも用途が異なると「買い頃価格」が異なりますので、注意が必要です。例えば普段着用するTシャツと、ファッションアイテムとして着用するTシャツでは大きく買い頃価格が異なります。今日の消費者は、価格と用途が連動していますので、同じアイテムでも、用途が異なるアイテムは、別のものとして管理することが必要でしょう。

(3)支持されている価格を維持する努力をする
自店の支持されている価格を知ったら、その価格に力を集中しましょう。その価格で、価値ある商品を仕入れる努力をすることです。このような厳しい状況では、その価格より下の価格を拡充したくなります。そのようなことをすれば、一時的に売上はあがるでしょう。しかし、その後に元の価格に引き上げることは、非常に苦労をします。支持される価格を、引き下げる時は戦略的に実行していくことが必要です。

2.自店の支持されている価格に上下をつける

(1)中心価格帯に心をこめる
中心価格帯は、最も支持されている価格帯の上下1マークの、3つの価格で構成します。例えば、5,900円が中心価格であれば、上の6,900円、下の4,900円を付加し、6,900円、5,900円、4,900円を中心価格帯とします。この価格帯は、自店の生命線ともいえる価格帯で、シーズンを通して、常に魅力的な商品展開をしていく価格です。この価格で、期中対応力のあるメーカーと密接な関係を持てるとチャンスロスを防ぐことができます。

(2)権威価格帯は、完全消化できる量に
中心価格帯より上の、自店のMDを魅力的に見せるためのものが、権威価格帯です。中心価格帯が、6,900円であれば、9,900円、8,900円、7,900円ぐらいが権威価格帯でしょう。この価格帯は、シーズン導入期にメッセージ性を伝えるためのものです。購買層は、感度が高い顧客が多いのが特徴です。イメージもよいし、説得力のある商品が多いので、ついつい発注しすぎてしまいますが、この価格帯のものは、無理をせず、マークダウンロスを生じないよう、完全消化できる量に抑えるのがポイントです。

(3)奉仕価格帯は、中心価格帯とは別の理由づけが必要
奉仕価格帯とは、中心価格帯より下の「理由あって安い」価格帯です。中心価格帯が、6,900円であれば、2,900円、3,900円、4,900円などが奉仕価格帯です。セール価格などである場合が多いと思います。しかし、景況の悪い時には、プロパーで奉仕価格帯を開発することが、有効な策となります。ただ、ここで気をつけたいのは、中心価格帯を侵食しない「理由づけ」が必要です。中心価格帯とは、用途(イエナカ用途、イベント用途、お土産用途など)や仕様(産地変更、装飾排除など)が明らかに異なる商材をあてこまないと、中心価格帯が低下し、「点数アップの売上ダウン」を招きますので注意が必要でしょう。

権威価格帯、中心価格帯、奉仕価格帯すべて、3つの価格を持つかどうかは、その店の取扱商品特性、経営環境によって異なります。しかし、中心価格帯を基軸にMDを組み立てていくことは、どの店舗にもいえることです。安易に中心価格を上下させることは危険なので、気をつけましょう。

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【ファッションビジネス 商売の原理原則】売上ダウン時にまずやること

現在、経営環境が非常に悪化し、先行きが見えない状況が続いています。このような時こそ、先人たちから受け継いだ「商売の原理原則」をしっかりと押さえ、MDの基礎体力向上をしていくことが必要です。この講座では、不変である「商売の原理原則」を経営環境の変化に対してどのようにセレクトショップの仕入れに適応させるかをお伝えしていきたいと思います。

第1回は「売上ダウン時にまずやること」をお話ししたいと思います。

厳しい経営環境ではありますが、売上ダウンの時に生じている問題は、いつも一緒です。「客層に商品が合致していない」のです。

現状では、多くの店で、「逃げる客」が多く、「とどまる客」、「来る客」が少なくなっているのでしょう。そのような時は、まず、「とどまる客」の発見が大事です。第一に「とどまる客」を発見しましょう。

そのためには、どの属性の顧客が「逃げているのか」「とどまっているのか」「新たに増えているのか」を把握し、対応商品をどのようにしていくのかを仮説をもって行動していくことが必要です。

ちなみに私はよく以下のようなチャートを使います。

以下に、このチャートを使った分析と対策の講じ方を説明していきます。

手順1:顧客属性を分ける

自店のお客様が、大きく何タイプに分けるかを考えてみましょう。これは、あまり細かく考えると難しくなるので、大局的に見てわける方がよいでしょう。分け方は、その店によって違いますが、以下のような方法があります。

①性別(男、女)
②年齢層別
③社会グループ(学生、OL、主婦、ファッション業界人、ビジネスマン、自由業など)
④ファッショングループ
(ストリートカジュアル、ギャル系、お兄系、アメカジ系、トラッド系、キャリア系な、インポート系など)
⑤買い物予算額

セレクトショップでターゲットの幅を狭くしている店の場合、④のファッショングループでは分けられないことが多いので、②年齢層や③社会グループで分けるとよいでしょう。反対に、小商圏型セレクトショップでは、ひとつのファッショングループではくくれないこともありますので、その場合は④ファッショングループと②年齢層、③社会グループのどちらが自店のお客様の分類として大事なのかを見極めて分類しましょう。

手順2:顧客属性別構成比の算出

会社や店舗で、すでに分類を決めて、その構成比がでていて、そしてその分類が実情と異ならないのであれば、そのままあてはめればよいでしょう。

もし、そのような環境ではなかったり、実情と異なったりする場合は、販売スタッフへのヒアリングや、一定期間の客数を仮説の属性別にカウントしてみましょう。可能であれば、買い上げ客数だけでなく、来店客数をカウントすると、対策を講じる際に有効な情報となるでしょう。

手順3:商品属性のあてこみ
手順1で分類した顧客属性別に、それらのお客様がお買い上げいただいている商品群(アイテムやテイストなど)をあてはめましょう。セレクトショップの場合、取りあつかいブランドをあてはめることが多いですね。

手順4:売上動向の分析
手順1~3までの段階で把握した、それぞれの顧客・商品属性別に売上が伸びているのかどうかを把握します。昨年より伸びているのか、先月より伸びているのか、どうかを記入します。
定量的に把握できる場合、データを添付し、もし困難な場合は、販売スタッフへのヒアリングから判断します。

手順5:集中すべき属性を発見する
最も大事なのは、「伸びている顧客・商品属性」をもっと伸ばすために、拡充させることです。もし、どの顧客商品属性も伸びていないのであれば、手順1~4をもう一度見直し、伸びている「顧客・商品属性」を見つける努力をしてみましょう。

もし、どのような切り口で「顧客・商品属性」を分類しても、伸びているものがなかった場合、客数が最も多い顧客属性の中で、伸びている商品属性がないかを見つけることをします。

手順6:売場展開に活かす
集中すべき属性をもっと伸ばせるような売場になっているかを確認してみましょう。まずは店頭で、それが伝わっているかを確認しましょう。ウィーンドーや、店内VPはきちんと集中すべき属性のものが展示されていますか?「まあ、できている」というレベルでは、お客様には伝わりません。商品展開量を増やす、POPをつける、などインパクトを与えるよう努力をしましょう。
そして、販売スタッフのセールスがしっかりと行えるよう、相互コーディネートプレイや、商品勉強会(セリングポイントと伝え方)を行っていきましょう。

どうしても、売上が厳しい時には売れない商品を、売ることばかり考えてしまいます。でも、少しでも売れている商品属性があるのなら、その属性を店舗全体で伝えていくことが、最も大事でしょう。

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2017年 年初のご挨拶

皆さま、明けましておめでとうございます。
皆さまにとって2017年が輝かしい1年になりますよう祈念しております。

私は、昨年独立10周年を迎えることができました。と言っても、特別なことをするでもなく、お声がけいただいたお仕事を誠実に遂行することとに尽力した一年でした。

昨年のお仕事としては、これまでアパレルショップやSCの企業さまのお仕事が多かったのですが、百貨店業の企業さまの仕事が増えたのが特徴です。環境が激変する中、これまでの資産が多く、大胆に変えることができないのが百貨店。自主販売、自主企画を推し進めるための業務のあり方などをコンサルティングさせていただきました。

今年は、ファッション業界、流通業界の環境変化がますます進む一年となりそうです。変化に対応されながらも振り回されない、「しなやかで強い店舗・企業づくり」をテーマにコンサルティングを行わせていただきます。

ライフワークである国内外の業態リサーチも続けてまいります。コレクショントレンドやファッション業態に加え、衣・食・住の垣根を越えた」トレンド事例もより多くリサーチをしていきたいと思います。

また、2016年は、マレーシア・クアラルンプールに設立したコンサルティング&マーケティング会社「YRCG」が本格稼働した年でした。国内外の企業の依頼によりクアラルンプールやマレーシア、アセアンのマーケット調査や進出コンサルティングを手がけてきましたが、クアラルンプールでの業務運営代行とマーケティング支援も開始。今後はこの分野も拡大していたきたいと思います。

そして、日本企業の皆さまと、クアラルンプールマーケットを共有すため「KLマーケット解説」というコラムも開始いたします。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

「買いたいと思わせる」マーケティングと「買える」MD

タイトルは、NYを歩いた時に思ったことです。今、NYで人気のファッションの店というのは、EC軸やWEB発の店が多いようです。そしてその店頭を見に行くと、そこに素晴らしい取り組みは特にありません。なぜ、このような店が売れるのか、NYでのリサーチでずっと考えました。

その答えとして、「買いたいと思わせる」マーケティンと「買える」MDにあるのではないかと思い至ることに。

これらの店の「買いたいと思わせる」マーケティングは、WEBやSNSを使って仕掛けられています。わかりやすいコンセプト、イメージの高いビジュアル、作り手のメッセージ。媒体に歪められることなく、ターゲットに届けています。WEB、SNS時代だからこそ、できることでしょう。

これまでは、プレス関係者や流通関係者を通してのみ、消費者に伝わっていました。途中にいるのは、ファションや流通のプロですから、彼らの考えに及ばないこと、またはメリットがないものは、そこで情報が遮断されてしまっていました。しかし、自社のWEBやSNSでしたら、しっかりと発信することができます。特にインディーズであれば、それがすべてですし、自由な発想と創造性で、「憧れ」をしっかりと描けているようです。

そして「買える」MD。コンセプトやターゲティングは尖っていながらも、大衆が買える商品構成がなされています。買い手を限定しないアイテムとデザイン、ECで売れる手頃価格、ロジカルに比較検討できる品揃え・・。それに、オムニチャネルと返品制度をしっかりと整え、どこへでも届き、どこからも返せる仕組み・・・。

この2つの要素がしっかりとなされている店が売れていたようです。

当たり前といえば、当たり前です。皆、それに取り組んでいるのです。しかし、その精度が違うのでしょう。

インディーズのWEB、ECプレイヤーは、リアル店舗と違って、黙っていたら誰も見てくれません。「買ってもらう」ことへのハングリー精神が違います。そこから、マーケティング手法が高くなっているのでしょう。

そして、初期コストが低い。売上目標も抑えられる。だから、コンセプトやターゲットも絞込みができることができるのでしょう。

有店舗の小売業は、「顧客第一」がモットーでしょう。それは正しいです。ただ、目の前のお客様の顕在ニーズに振り回されて、コンセプトがぼんやりすることが多いようです。

「買える」MDは、日本の小売業が得意としてきたことでした。しかし、その前に「買いたいと思わせる」マーケティングが、先にあげたプレイヤーと比べると弱いように思います。今、インディーズから学ぶことが必要なのかもしれません。

★関連記事 アパログ「2016年NYレポート5 NYレポート 活況はWEB発、EC軸へ」

SCの売上構成要素について考える

この春は、SCのお仕事や取材が多く、SCについて色々と考えることが多くなりました。

SCの売上構成要素は、小売業と同じに以下の8項目であると考えます。

1.立地(どの商圏に、どの立地に出店するか)
2.規模(何坪の店を出店するのか)
3.ロイヤルティ(SCのブランドの認知度アップ、ブランドアイデンティティの確立)
4.商品力(テナントミックス)
5.販促力(認知、集客、買上のためにどのような販売促進をするのか)
6.売場力(入店、買上のためにどのような売場をつくるのか)
7.接客力(SC全体での受け入れ体制、カスタマーサービスなど)
8.固定客化力(ポイントカード、アプリなどの囲い込み、自社ECへの誘導)

「1.立地」、「2.規模」は出店のときに決まってしまいます。これを見誤ると悲劇です。

「3.ロイヤルティ」は、会社全体で醸成していくものなので、時間がかかります。以前は、SCのブランドロイヤルティはそれほど、意識されていませんでしたが、今はこれに力を注いでいます。前は、ブランド力をアップして、リーシングをしやすくするために行っていることが多かったのですが、今は消費者への認知度アップ、ブランドイメージの統一を図っています。ららぽーとや三菱地所のCMへの積極性、JRグループの商業施設のブランド統合などは、このための取り組みです。

そして、「4.商品力」。立地、規模、ロイヤルティの力相応にテナントミックスすることが必要です。SCの商品力を方程式で表すと「アンカーテナントの力×テナント数×グレードカバー力×鮮度×テナント戦闘力+ストーリー+独自性」となります。

SCも3000館体制へ経て、ライフサイクルが成長期から安定期に移行し、上記方程式の後ろの方(ストーリーや独自性)へ重要度が移行してきています。横浜のマリン&ウォークや新宿のニュウマンは、それぞれストーリー性の切り口が秀逸だったと思います。

しかし、ここ1年にオープンしたSCは、立地・規模・ロイヤルティからするとちょっと背伸びしているチャンレンジ案件という気がしています。テナントリーシングしていた頃は、アベノミクスによる期待感があったでしょうし、インバウンドというゲタを履いたということもあったのだと思います。

先日、オープンした東急プラザ銀座を見ても、それを感じました。感じるストーリーは、グローバル&ラグジュアリー。銀座という1等地ですから、それは良いと思います。ただテナントミックスからすると、全体的にテナントが小粒なのとグレードカバー力が弱いように思います。どこか、香港や韓国、台北のラグジュアリーモールに近い、ファシリティとテナントのパワーもアンマッチ(すなわちファシリティのわりにテナントのパワー不足)を感じます。

また、最近の傾向としてアンカーテナントがこれまでのプライヤーとは異なる店。昔は、百貨店やGMSなどの総合大型店が核になり、ここ2000年以降は準核として専門大店を複数持つようになりました。そして最近は、専門大店とならんで、これまでSCにはなかったような業種・業態をアンカーテナントとして導入。東急プラザ銀座は空港型免税店、マリン&ウォークはフレッドシーガルと結婚式場、エキスポシティは新型アミューズメント施設。SCのテナントミックスが進化したともいえますが、小売業のパワーダウンの現れともいえそうです。

グローバル化と脱既存小売、脱ファションという中、SCの差別化要因を考える春でした。

文 山中健(YCO代表)

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