山中コンサルティングオフィス

Asia Business Column

外国人ビザ、制度見直しへ

政権交代後はじめて、政府が就労ビザについて明確な指針を示しました。

収入を軸にビザ発行の条件を定める方針で、まずは月収5,000リンギ以下のカテゴリーが改定の影響を受けるようです。

報道によると、マレーシアには11万7,000人の外国人が就労しており、収入別にみると1万3,362人が月収1万リンギ以上、同5,000リンギから1万リンギまでが2万6,003人となっており、見直しの対象(5,000リンギ以下)となるのは2,158人だそうです。

ここでいうのは高度外国人材のことで、作業員などのいわゆる外国人ワーカーとよばれる方々とは区別されています。

クラセガラン人的資源相のコメントが引用される形で、政府としてはビザ発給の条件を段階的に月収1万リンギ以上に引き上げていく方針も伝えられています。

「月収1万リンギ以下のポジションは、ローカル人材で十分に対応できる」というのが、人的資源相の見解です。

新政権は発足後、外国人に対する依存を減らして国内の雇用を増やすという公約と、外国投資を積極的に呼び込んで歳入を増加させるというはざまで攻防を繰り返してきました。

前者が人的資源相で、後者が財務省の立場ですから、クラセガラン大臣は少し強めの発言をしたのかもしれません。あるいは、税収を見込める人材優先というところが妥結点になったのかもしれません。

いずれにせよ、近く正式なアナウンスがあるようなので、外国企業としては注意深く行方を見守り、適切な措置をとる必要がありそうです。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

過剰な公務員、マハティールジレンマ

マハティール首相はこのほど、自身の第1次政権を退任した2003年と比べ、16年間で公務員の数が70万人増加したと話しました。

現在の公務員数は170万人で、首相は政府支出の増大を懸念し、人員過剰だと指摘しています。このスピーチは、防衛省で行われました。

公務員数の削減は、現政権与党の選挙公約でもありました。前政権が票田を増やすために、いたずらに規模を拡大してきたことを批判していたのです。

ただ、マハティール首相もスピーチの中で続けて発言しているように、いたずらに削減を実行すれば失業率の増加につながります。「工業化を促進するなど、受け皿の確保を同時に進める」(首相)ことが急務で、第3国民車構想もこのことと無関係ではないのかもしれません。

このスピーチを取り上げたラジオでは、コメンテーターが「日本では公務員1人当たり120人に対応している計算になるのに、マレーシアは19人と生産性が著しく低い」と嘆いていました。

首相も公務員の削減は、IT の活用やデジタル化を促進することで十分に可能だとしています。人の手が介在しなければ汚職も減りますし、何より手続きの透明化が進みますので、外資企業にとっては大変ありがたいことです。

そして、こうした痛みを伴う改革こそ、限られた任期の中で首相が取り組みたい課題なのでしょう。

著書「マレージレンマ」でマレー人の弱点を指摘した首相は、2003年の辞任スピーチで、「マレー人を勤勉にすることができなかった」と涙し、保護政策に頼らない民族の自立を強く促していました。

おそらく、その想いは今も顕在しているのでしょう。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

サムライとパンダ

前政権の負の遺産が1兆リンギ以上にのぼると言われ、緊縮財政を掲げるマハティール政権に中国が救いの手を差し伸べるようです。

報道によると、中国建設銀行が10年間でクーポンレート3.07%の債権を発行する見通し。ちなみに、3月に日本が発行する2,000億円の円建て外債は10年で0.65%です。

日本円は変動が激しいので、単純にレートを比較することはできませんが、この債権、それぞれパンダ債、サムライ債とよばれています。パンダよりサムライのネーミングの方が日本人としては嬉しく感じます。ただ、日本刀より怖いのはパンダの方かもしれません・・。

サムライ債の発行は国際協力銀行の保証付で、みずほ銀行、HSBC、大和証券が主幹事となるそうです。

延期や中止が発表されたインフラ事業のうち、シンガポールとマレーシアを結ぶ高速鉄道はいち早く事業化のめどが立つことを願っています。確実に KL 首都圏の商圏は拡大すると思います。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

タイとマレーシアの違い

バンコクに出張中、何気ないところでクアラルンプールとの違いを感じました。忘れないうちに書いておきます。個人的な感想です・・。

宿泊ホテルが Fitness First というイギリス系の会員制ジムに隣接していて、宿泊者は自由に使えるという特典がありました。

朝6時からオープンとあるので、早起きし体を動かしていると、ジムのトレーナーさんとおぼしき人が2〜3人、トレーニングをしています。7時くらいになると、トレーナーさんの数がどんどん増えていき、いくらなんでも数が多いなのと思い始めていたとき、あることに気づきました。

それは、トレーナーさんではなく、会員の人たちが Fitness First のシャツを着てトレーニングを行なっているということでした。マレーシアでは、ジムのロゴ入りシャツを着ているのはトレーナーさんの証のようになっています。

日本でも Gold Gym クラスでステータスにならないと、おそらく一般の肩がロゴ入りのものを身に付けることはないのではないでしょうか。

おそらくバンコクのタイ人にとって、一等地の会員ジムで朝からトレーニングをすることはステータスなんだと思います。その象徴として好んでロゴ入りのシャツを着ているのだと考えた次第です。

シャツが入会時に配られるのか、会員個々が購入しているかは定かではありません。ジムのホームページを見ると、1カ月あたりの会員費は約2,500バーツ。平均月収(1万4,000バーツ)の約20%ほどになります。

多民族国家のマレーシアは、人種がある意味分かりやすいクラスターになっていますが、タイの場合は格差によって明確な線引きがあることを朝の風景からも実感します。

マレーシアと違い、華人が名前も言葉も現地化しているタイでは、華人系のタイ人かそうでないかが出張者には見分けがつかないため、余計に格差のクラスターが目立つのかもしれません。

もちろんマレーシアにも所得格差は深刻な問題として存在しますので、クラスターはより細分化されます。そう考えると、タイの方がマレーシアよりはブームを起こしやすいのかなと感じました。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

春節のリズムに合わせる

赤道に近く気候の変動が少ないマレーシアですが、長く住んでいると雨季と乾季の変わり目が気になるようです。

旧正月を挟んで3週間ほど続く、少し浮ついた気持ちが落ち着いてくるのもこの頃で、道路や駐車場の混雑が分かりやすく日常の風景に戻ってきます。

乾季になると、大気の汚れを洗い流す雨量が減り、鼻や喉が敏感に反応し始めます。身体の方はいち早く変化への適応を試みているのに、このリズムを感じることが、どうも今までできていなかったような気がします。

思い込みに近い運気やバイオリズムだけに頼って行動してきましたが、今年は大気のリズムを意識しながら判断を下し、アクションを起こすことを意識してみようと思います。

そう言えば、旧正月から1週間が経つ今晩から明日にかけて、家族でお参りをする日にあたるようで、信仰を重んじるスタッフ数人が有給休暇をとっています。

6連休のあと、2日出勤して翌日の有給ですから、日本人の感覚からは信じられないかもしれません。

自然とともに生きる。こうした伝統は、いずれ急速な経済発展とともに、もしかしたらこの国でも置きざりにされていくのかもしれません。かつて日本が歩んできたように。

休みをとってまでとは言いません。でも、自然の息吹を感じながら経済活動を行なってみることにしてみます。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

アジア会議、バンコクで講演

JETRO が主催するワールド・ビジネスフェスタがバンコクで行われ、1月28日、29日とバンコクに行って参りました。

アジア各地の専門家と意見交換できたのは、本当に有意義な機会になりました。ベトナム、インドに勢いがあり、ミャンマーには投資の熱い視線が向けられているようです。

最終日には、「変革の2019年、政権交代後のビジネスを占う」と題して、セミナー登壇させていただきました。

債務総額1兆リンギを超えるといわれる前政権による負の遺産から、2019年は緊縮財政路線で進められること。一帯一路の大規模プロジェクトが見直され、外国投資の伸びが期待できないこと。

国民消費の活性化が成長のかぎとなることから、政府、中央銀行主導でキャッシュレスエコノミーが進むこと。「ルックイースト再び」で、日本企業にはビジネスチャンスであること、などを柱に話を進めました。

セミナー後の名刺交換で、多くの方が第3国民車構想に関心を示していることが分かりましたので、情報をアップデートできる体制を整えたいと思います。

さて、本日は旧正月イブ。カレンダー上は平日ですが、クアラルンプールの中心部からは、ほとんど車が消えました。少なくとも今週いっぱいは、経済活動がとまります。

恭賀發財
Gong Xi Fa Cai!

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

難解なハラル 認証・・・

消毒用のハンドジェルです。画面左側にマレーシアの認証機関によるハラル マークがプリントされています。

裏面の成分を確認すると、「エチルアルコール」と明記されいます。一般的な日本人の感覚なら、「アルコールなのにハラルなの??」とクエスチョンマークが広がると思います。

飲まなければ良いということですかね、きっと。

それでも以前イベントを運営していたときは、マレー系スタッフからの要請で、アルコールが含まれない消毒ジェルをそろえていました。

あれは、個人の感覚の問題だったのかな・・?
もっと良く知る必要がありますね。

深いです・・・。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

なぜ関税が下がらない?貿易構造について、考える

打ち合わせ中に聞いた話なので、内容を再度精査する必要があるのですが、備忘録として書いておきます。

日本とマレーシアは自由貿易(FTA)、経済協力協定(EPA)ともに発行済です。制度的には多くの製品が関税の削減、撤廃が実現するはずなのですが、小売現場の多くでは、その恩恵を受けたという話をあまり聞きません。

「なぜか?」というレクチャーを受けました。

EPA を申請するためには、原産地証明を取得しなければいけないのですが、実質的には1カ月以上かかる作業なのだそうです。

小売側からすると、今売りたいのに、申請に1カ月かかるくらいなら、むしろ時宜を逃すことをロスと考え、関税がかかってでも「今」仕入れたいと申し入れます。税金分は販売価格に転嫁され、割高になる。

また、申請手続きは、日本国内の製造業者か、マレーシア側の輸入業者しか、できないとのこと。国内流通で商社が介在していて、同じ商社に海外での販売権を与えると、その会社がマレーシア法人を持っていない限り、EPA は適用されないということになります。

今日受けたレクチャーが正しければ、イオン、ドン・キホーテ、ダイソー、ユニクロ、無印良品など、海外マーケットでボリュームをさばける箱がないと難しいということですね・・・。

いろいろな地方自治体が、マレーシアで物産展をしているのを見ますが、いっそのことその予算を持ち寄って、常設の「日本物産免税感」などを作ってはいかがでしょうか・・?

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

内閣府主催パネルディスカッション

1月12日(土)、ウェスティンクアラルンプールのグランドボールルームにて、平井卓也大臣(内閣府クールジャパン戦略担当)を交えたパネルデスカッションが行われました。

「日本・マレーシア両国の発展に向けてクールジャパン戦略から考える」というテーマの中、パネリストとして参加させていただき、以下の内容を放言・・・してきました・・。

(現状の課題)
日本企業が提示する下代とマレーシア企業が求める金額(コスト)には、15%から20%の開きがある。これは構造上の問題(多品種小ロット、OEM、利益構造、ビジネスモデルなど)。

これだけ開きがあると、マレーシアでの価格(上代)設定に転嫁せざるを得ず、自ずと一般商品がプレミアム商品の価格設定になってしまう。

ここで、日本製品の品質を担保に「富裕層マーケット」への売り込みを画策する動きがあるが、富裕層マーケットは世界で一番攻略が難しい市場。ラグジュアリーブランドがしのぎを削っているのを踏まえれば、一目瞭然で、信頼を買っていただくには時間と投資がかかることを見過ごしてはいけない。

商品を現地生産するのではなく、輸出するのであれば、最初からローカライズやカスタマイズができない前提になるので、マーケットインの視点にたった目利きによる商品選定が重要。

実際の売り場で商品を売る販売員が、豊富な知識で熱意を持って丁寧に接客してくれた記憶が17年間のマレーシア生活の中でほとんどない・・。売り場を構成する際、店員さんの販売力には期待できないことを想定して組み立てを考えるべき。

(ビジネスチャンス)
1人あたりのリテールスペースで、ペナン、首都圏クランバレー、ジョホールは、香港、シンガポールよりも面積が広い。中央銀行がショッピングモールの供給過多に警鐘を鳴らす中、2021年までに140の新しいモール建設が予定されている。

一方、2014年に0.5%だった EC 化率を2020年までに5%にする政府計画がある。EC 市場は毎年10%以上の成長が見込める成長マーケット。

今後、モール、EC の両方で商品の差別化が今以上に求められ、日本は宝の山として注目をあびる可能性が高い。マレーシア政府が取り組んでいるデジタルフリートレードゾーン構想も魅力的。

優れた商品の発掘プラットフォームに、マレーシアのインフルエンサー、日本の Youtuber をバイヤーとして巻き込み、自分たちで見つけたお宝商品を発信力で消費者に訴求する取り組みなどは面白いと思う。

(クールジャパン)
マレーシアの幅広い層が日本に親近感を持ったきっかけは、アニメや漫画だと言える。子どものうちに文化に触れておくことが大事。

遊びながら学ぶ日本の知育(Edutainment)には優れたコンテンツが多く、仕組みの裏で働く IT、先端技術に触れることで、子どもと親の両方が学び、遊び、技術で日本に強い関心を持つきっかけとなる。特に体験型のコンテンツは、非常にポテンシャルが高い。

とても貴重な経験をさせていただきました。主催者さまはじめ、関係者の皆様がたに心より感謝申し上げます。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

デザインが売れる時代

本日のランチで、ローカルレストランチェーンのオーナーと話す時間がありました。

店舗デザインはシンガポールの会社に依頼していて、1店舗あたり約10万リンギを支払うそうです。かなり驚きました。

しばらく前まで、ローカルビジネスでデザインにお金をかけるなど、聞いたことがなかったからです。やがて、少しずつ洗練されたお店ができはじめましたが、それはほとんど外資系の店舗でした。

失礼な言い方になるかもしれませんが、現実的に、ローカルビジネスマンのほとんどはかつて、デザインはコピーすれば良いと考えており、オリジナリティーにお金をかけるという発想はなかったように思います。

飲食業界も競争が激しくなり、価格と品質に加えて雰囲気も洗練させなければ売れない時代になってきたのでしょう。

この転換は、日本のデザイナーさんにとって、大きなビジネスチャンス到来だと思います。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

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