山中コンサルティングオフィス

Asia Business Column

イチロー引退

スーパースターにも苦悩や葛藤があったことは想像の世界ではわかっていたけど、輝きしか目に映らなかった。ずっと、その姿を励みにしてきた。

2001年、シンガポールから東京に戻りキャリアでもがき、とにかく苦しかったとき、アメリカに挑戦して周囲を黙らせるその姿に何度鼓舞されたか。

2009年、マレーシアでテレビにクギ付けになった韓国戦、決勝打の瞬間には大声で拳を突き上げ、2人の子供の前で少年時代のように夢中で飛び跳ねた。

同じフィールドで戦っているわけでもないのに、オレも負けてられない、頑張らなきゃと思い続けてきた。全ての願いを託して祈るように見つめたこともあった。

そういう人たちが世界中に数えきれないほどいたことが、巨大なうねりとなって、スーパースターがグラウンドを去る瞬間の大歓声に乗り移った。

322日間、実戦から離れた。翌年に東京で試合があることは決まっていたが、選手としての保証は何もない。

保証のない322日間、自分の中にある確信だけに向き合って、最高のレベルで精神と肉体を鍛錬し続けた。

1日でも気を抜けば、引退試合は、少し締まりがなくなった身体で迎える1打席だけのセレモニーになったかもしれない。

貴重な公式戦を戦力として戦い抜き、チームは勝利した。スーパースターは、それを引退試合とした。

なんの保証もない中、1日たりともあきらめず、大歓声の前で確信を現実に変えてみせた。

これからは、この姿を一生追い続けることになるだろう。自分に重ね合わせて。次は自分がと、多くの人が後押しされたに違いない。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

輸入車ライセンス枠撤廃、自由化・・・ではなかった

国際貿易産業省が自動車輸入ライセンスの枠を撤廃したことで、ちょっとした騒ぎが起きています。

個人的にはTPP11批准に向けて、いよいよ自由化かと期待してしまったのですが、実情はそうではありませんでした。

マレーシアで輸入車を販売するには、AP(Approved Permit)というライセンスが必要なのですが、これを管理、発行しているのが国際貿易産業省です。

今回の発表は、実質的にライセンスの発行数を無制限にするというわけですが、参入障壁がなくなったわけではなく、100%ブミプトラ資本であること、役員がブミプトラであることなど、保護政策はこれまで通りです。

小さな中古車販売会社だったナザグループが、不動産開発を含む多角経営を手がけるコングロマリットに成長したのは、ライセンス枠を極端に制限していた初期のAP制度が寄与するところが大きかったと思います。一方で、制度自体が腐敗や癒着の温床になっていると言われて久しい事実もあります。

現在、マレーシアには AP ライセンスを持ったブミプトラ企業が164社あり、このうち2017年には22万台から28万台の輸入車が販売されたといいます。

国際貿易産業省のねらいは、競争原理をはたらかせることで価格に弾力性をもたせることなのですが、国民車計画にマイナスの影響がある、既存ブミプトラ企業の利益が損なわれるなど、批判の声があがっています。

これもまた、新政権の正念場と言えそうです。

ちなみに日本車には、特恵関税が発効されており、完成車には30%、組み立て車には10%の輸入税が課せられています。そこへさらに、Excise Duty という物品税が60~105%とサービス税10%が乗っかります。
http://www.maa.org.my/pdf/duties_taxes_on_motor_vehicles.pdf

これはマレーシア自動車協会が2018年9月1日にアップデートした情報なのですが、政府の関税免減実行表によると、すでに輸入税はゼロになっているはずなんですけどね・・・。
https://fta.miti.gov.my/miti-fta/resources/auto%20download%20images/55828dcd657f2.pdf

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

マハティール首相の挑戦、公務員を民営化で削減

マレーシアが大きな変革期を迎えようとしています。

肥大した公務員の数と歳出を抑えるため、公共サービスの一部を民営化する動きがあるというのです。報道によると、税関、国営放送(RTM)、国営通信(ベルナマ)などが対象として挙げられています。

コスト削減はもちろん大前提としてあるのでしょうが、マハティール首相のねらいはそこだけではないと思います。

170万人ともいわれる公務員は与党の大票田で、警察も軍も野党に投票することは暗黙のルールとして禁止されていたといわれています。このルールが崩れたことで、誰もが予測できなかった政権交代が起きたのも事実ですが、そもそも流れを作ったのは第一次政権時のマハティール首相です。

西側メディアからは独裁政治だと批判されることもしばしばでしたが、発展途上国だった当時のマレーシアを率いるには、政権の安定が不可欠だと考えていたのでしょう。

ここで功罪の論議をするつもりはありませんが、その後の歴代政権は票田の母体を意図的に拡大してきました。その結果、公共サービスに効率は求められず、ときに腐敗の温床と指摘されるようになります。保護されるばかりで向上することのないマレー系国民の勤労意欲に対し、マハティール首相は公然と叱咤激励を繰り返しています。

自身が敷いたレールの先に国が誤った方向に導かれるのを黙って見ていることなど、決してできないと思います。

ただ、歴史的な政権交代を主導した与党連合も一枚岩ではありません。政権運営では経験値の不足が露呈し、批判の対象となることもしばしばで、1月と3月に行われた州議会の補選ではいずれも与党の候補が破れいています。

政府機関の効率化は与党連合の選挙公約でした。でも、このタイミングで大ナタを振るうことができるのは、きっとマハティール首相以外にはありえないでしょう。

テクノロジーが急速に進む今、単純労働の担い手は大変な勢いで必要とされなくなります。マレーシアが中進国の罠から抜け出せない中、成長著しいベトナムなどが域内での存在感を高めていることも不安要素になり得ます。

民営化が進めば、一時的に混乱することは必至です。すでに、労組は断固反対の声明を出しています。政権の基盤も揺らぐかもしれません。

それでも強烈に問題提起を繰り返すマハティール首相からは、悲壮なまでの強い意志が溢れ出ているように感じられます。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

第三国民車はフライングカー?

マハティール首相が昨年5月、第二次政権を発足した後すぐに構想を発表したのが、第三国民車計画。

国民や海外メディアの関心も高いのですが、いまだに全容は明らかになっていません。

そこへきて、最近巷を賑わせているのが、国産の空飛ぶ車が発表されるというニュースです。

出所は起業家開発担当大臣で、「すべてマレーシアの技術を用いて、年内にも発表が可能」。開発費が驚きの100万リンギ(約2,700万円)というから、話題に事欠きません。

この分野で先行する米スタートアップ企業 Jetpack Aviation は空飛ぶバイクを38万ドル(約4,000万円)で売り出すとしています。開発には10年間で、数百万ドルが費やされたと言われています。
https://jp.techcrunch.com/2019/03/10/2019-03-07-ycs-latest-moonshot-bet-is-a-startup-building-a-380k-flying-motorcycle/

こうした先例もあり、大臣の発言は少し荒唐無稽に捉えられた節があるのでしょう。この記事を掲載したウェブメディアのコメント欄で、最も多くの「いいね」を得たのは、「Doraemon」という一言でした。
https://paultan.org/2019/02/26/malaysia-set-to-unveil-flying-car-prototype-this-year/

巷の反応を意識してかどうかは定かではありませんが、国際貿易副大臣は11日、空飛ぶ車と第三国民車の関連性を明確に否定しました。「フライングカーは商用に開発されるとは理解していない」そうです。

気になる第三国民車構想については、「政府予算でプロトタイプのベースを作り、関心を示した民間企業がプロジェクトを継続し利権を得る」としており、プロトン、プロデゥアに次ぐ第3のブランドを作ることが目的ではないことを強調しました。

第三国民車構想は、首相府省直下のハイテクノロジー分野に特化する官民グループ主体で進められています。政府はあくまでファシリテーターとしての役割に徹して、あらたな産業を創出することを目指しているのでしょう。
https://www.straitstimes.com/asia/se-asia/malaysias-3rd-national-car-not-a-flying-car-deputy-minister-denies

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

家具屋さんがモールから消える!?

調査の仕事があったので、対象となるモールのリサーチを行ってきました。場所によってはテナントさんの顔ぶれがだいぶ様変わりしています。

賃料も集客力もトップクラスのいわゆるグレード “A” モールでは、ユニクロとザラをのぞくインターナショナル SPA、アジア SPA が店舗規模を縮小、あるいは、賃料の安い場所に移動しているのがわかります。

一方で、その穴を埋めるように、メジャーシーンでは知名度が決して高いとは言えないブランドの進出が目立ちます。マレーシアのグレード “A” モールはこれまで、知名度かコネがないと半永久的にウェイティングリストから昇格できないと言われていました。

既存テナントが更新ごとの家賃増で悲鳴をあげる中、高い家賃を払う体力のある海外ブランドが悲願の進出を果たしたのでしょう。潮目が変わったことを表す出来事だととらえています。

主なところとしては、デンマーク人が起こしたブランドですが中国で1,000以上の店舗を持つ Vero Moda、中国200都市以上に展開するレディースブランド EP、トルコ企業がオーナーになった LC Wikiki などが挙げられます。

かつての TOPSHOP や FOREVER21 に代わり存在感を示す格好ですが、おそらく1ターム(3年)か2タームで、こうした顔ぶれにも何らかの変化がみられると思います。

変化といえば、インテリア家具、雑貨のお店が圧倒的に減りました。クアラルンプールの目抜き通りにあるので、日本人にも知名度の高いパビリオンには「東京ストリート」がありますが、ここはかつてインテリア家具と雑貨のゾーンでした。同じようなゾーニングは、KLCC からも完全に消えています。

シンガポール系の大型インテリア家具チェーン iwannagohome も撤退して久しいし、One Utama にある著名ブランドも今期中に閉店すると聞いています。

ショッピングモールが供給過多のマレーシアに、E コマースの普及加速が重なり、ここから先、さらにテナントさんの顔ぶれは変わり続けることが予測されます。

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石橋正樹

外国人ビザ、制度見直しへ

政権交代後はじめて、政府が就労ビザについて明確な指針を示しました。

収入を軸にビザ発行の条件を定める方針で、まずは月収5,000リンギ以下のカテゴリーが改定の影響を受けるようです。

報道によると、マレーシアには11万7,000人の外国人が就労しており、収入別にみると1万3,362人が月収1万リンギ以上、同5,000リンギから1万リンギまでが2万6,003人となっており、見直しの対象(5,000リンギ以下)となるのは2,158人だそうです。

ここでいうのは高度外国人材のことで、作業員などのいわゆる外国人ワーカーとよばれる方々とは区別されています。

クラセガラン人的資源相のコメントが引用される形で、政府としてはビザ発給の条件を段階的に月収1万リンギ以上に引き上げていく方針も伝えられています。

「月収1万リンギ以下のポジションは、ローカル人材で十分に対応できる」というのが、人的資源相の見解です。

新政権は発足後、外国人に対する依存を減らして国内の雇用を増やすという公約と、外国投資を積極的に呼び込んで歳入を増加させるというはざまで攻防を繰り返してきました。

前者が人的資源相で、後者が財務省の立場ですから、クラセガラン大臣は少し強めの発言をしたのかもしれません。あるいは、税収を見込める人材優先というところが妥結点になったのかもしれません。

いずれにせよ、近く正式なアナウンスがあるようなので、外国企業としては注意深く行方を見守り、適切な措置をとる必要がありそうです。

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石橋正樹

過剰な公務員、マハティールジレンマ

マハティール首相はこのほど、自身の第1次政権を退任した2003年と比べ、16年間で公務員の数が70万人増加したと話しました。

現在の公務員数は170万人で、首相は政府支出の増大を懸念し、人員過剰だと指摘しています。このスピーチは、防衛省で行われました。

公務員数の削減は、現政権与党の選挙公約でもありました。前政権が票田を増やすために、いたずらに規模を拡大してきたことを批判していたのです。

ただ、マハティール首相もスピーチの中で続けて発言しているように、いたずらに削減を実行すれば失業率の増加につながります。「工業化を促進するなど、受け皿の確保を同時に進める」(首相)ことが急務で、第3国民車構想もこのことと無関係ではないのかもしれません。

このスピーチを取り上げたラジオでは、コメンテーターが「日本では公務員1人当たり120人に対応している計算になるのに、マレーシアは19人と生産性が著しく低い」と嘆いていました。

首相も公務員の削減は、IT の活用やデジタル化を促進することで十分に可能だとしています。人の手が介在しなければ汚職も減りますし、何より手続きの透明化が進みますので、外資企業にとっては大変ありがたいことです。

そして、こうした痛みを伴う改革こそ、限られた任期の中で首相が取り組みたい課題なのでしょう。

著書「マレージレンマ」でマレー人の弱点を指摘した首相は、2003年の辞任スピーチで、「マレー人を勤勉にすることができなかった」と涙し、保護政策に頼らない民族の自立を強く促していました。

おそらく、その想いは今も顕在しているのでしょう。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

サムライとパンダ

前政権の負の遺産が1兆リンギ以上にのぼると言われ、緊縮財政を掲げるマハティール政権に中国が救いの手を差し伸べるようです。

報道によると、中国建設銀行が10年間でクーポンレート3.07%の債権を発行する見通し。ちなみに、3月に日本が発行する2,000億円の円建て外債は10年で0.65%です。

日本円は変動が激しいので、単純にレートを比較することはできませんが、この債権、それぞれパンダ債、サムライ債とよばれています。パンダよりサムライのネーミングの方が日本人としては嬉しく感じます。ただ、日本刀より怖いのはパンダの方かもしれません・・。

サムライ債の発行は国際協力銀行の保証付で、みずほ銀行、HSBC、大和証券が主幹事となるそうです。

延期や中止が発表されたインフラ事業のうち、シンガポールとマレーシアを結ぶ高速鉄道はいち早く事業化のめどが立つことを願っています。確実に KL 首都圏の商圏は拡大すると思います。

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石橋正樹

タイとマレーシアの違い

バンコクに出張中、何気ないところでクアラルンプールとの違いを感じました。忘れないうちに書いておきます。個人的な感想です・・。

宿泊ホテルが Fitness First というイギリス系の会員制ジムに隣接していて、宿泊者は自由に使えるという特典がありました。

朝6時からオープンとあるので、早起きし体を動かしていると、ジムのトレーナーさんとおぼしき人が2〜3人、トレーニングをしています。7時くらいになると、トレーナーさんの数がどんどん増えていき、いくらなんでも数が多いなのと思い始めていたとき、あることに気づきました。

それは、トレーナーさんではなく、会員の人たちが Fitness First のシャツを着てトレーニングを行なっているということでした。マレーシアでは、ジムのロゴ入りシャツを着ているのはトレーナーさんの証のようになっています。

日本でも Gold Gym クラスでステータスにならないと、おそらく一般の肩がロゴ入りのものを身に付けることはないのではないでしょうか。

おそらくバンコクのタイ人にとって、一等地の会員ジムで朝からトレーニングをすることはステータスなんだと思います。その象徴として好んでロゴ入りのシャツを着ているのだと考えた次第です。

シャツが入会時に配られるのか、会員個々が購入しているかは定かではありません。ジムのホームページを見ると、1カ月あたりの会員費は約2,500バーツ。平均月収(1万4,000バーツ)の約20%ほどになります。

多民族国家のマレーシアは、人種がある意味分かりやすいクラスターになっていますが、タイの場合は格差によって明確な線引きがあることを朝の風景からも実感します。

マレーシアと違い、華人が名前も言葉も現地化しているタイでは、華人系のタイ人かそうでないかが出張者には見分けがつかないため、余計に格差のクラスターが目立つのかもしれません。

もちろんマレーシアにも所得格差は深刻な問題として存在しますので、クラスターはより細分化されます。そう考えると、タイの方がマレーシアよりはブームを起こしやすいのかなと感じました。

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石橋正樹

春節のリズムに合わせる

赤道に近く気候の変動が少ないマレーシアですが、長く住んでいると雨季と乾季の変わり目が気になるようです。

旧正月を挟んで3週間ほど続く、少し浮ついた気持ちが落ち着いてくるのもこの頃で、道路や駐車場の混雑が分かりやすく日常の風景に戻ってきます。

乾季になると、大気の汚れを洗い流す雨量が減り、鼻や喉が敏感に反応し始めます。身体の方はいち早く変化への適応を試みているのに、このリズムを感じることが、どうも今までできていなかったような気がします。

思い込みに近い運気やバイオリズムだけに頼って行動してきましたが、今年は大気のリズムを意識しながら判断を下し、アクションを起こすことを意識してみようと思います。

そう言えば、旧正月から1週間が経つ今晩から明日にかけて、家族でお参りをする日にあたるようで、信仰を重んじるスタッフ数人が有給休暇をとっています。

6連休のあと、2日出勤して翌日の有給ですから、日本人の感覚からは信じられないかもしれません。

自然とともに生きる。こうした伝統は、いずれ急速な経済発展とともに、もしかしたらこの国でも置きざりにされていくのかもしれません。かつて日本が歩んできたように。

休みをとってまでとは言いません。でも、自然の息吹を感じながら経済活動を行なってみることにしてみます。

YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹

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