あんぱんを探せ
前職の会社で、流通コンサルタントの先輩に教えていただいたことがあります。「単品」という概念です。単品とは、お客様の購買単位です。例えば、「アンパン」は多くのお客様の購買単位です。「アンパンが欲しいな」と思ってコンビニに行く消費者が、「○○屋のアンパンがいい」と思う消費者よりも多いのであれば「あんぱん」が単品です。言い換えれば、お客様の代替購買が可能な範囲を知るということです。そして、この単品で売れているものが売れ筋単品なのです。
それでは、アパレルで考えるとどうなるのでしょうか。実はアパレルはこの「単品」の概念が、シーズンやトレンドによって新たなものが生まれ、そして商品ライフサイクルによって細分化されていくのです。例えば、春先では、インナーとして使えるフーデット・トップス売れ筋単品であったとしても、次の秋冬は、もっと細分化されるかもしないですし、違った概念で単品が生まれるかもしれないですよね。これが、ファッションビジネスと他の流通ビジネスと大きく異なる点なのです。そして、それはかつてのように送り手の都合で仕掛けることが難しくなってくるのです。
そこで、この単品のくくりをデータから分析するのがアイテム管理と品番管理の間に位置づけられる「クラス管理」です。つまりSKU、個別品番のようなミクロな分類より上位の括り(=クラス)を見つけ、そのクラスでの売上分析と対策を講じるというものです。POSデータも技術改善されていますが、やはり重要なのは、MD責任者や現場の定性分析です。以外とこれをやっていない企業が多いようです。
小規模な店舗であれば、週に1度、売れ筋商品を持ち合って、「キテいる」キーワードを抽出して次週の対策を決める、複数店舗がある大所帯な企業であれば、売れ品番の写真などで確認して、次週の対策を決めるという場が必要なのです。
今、自店の「あんぱん」は何なのか、そしてこれからの兆しとなる「あんぱん」は何になりそうなのか、そしてそれは「いくら」で売れそうなのか、商品担当者と販売担当者でコミュニケーションを行うことが「クラス管理」を売上に結びつけるポイントなのです。
文 山中健(YCO代表)

- Posted: 12月 14, 2015
- Tags: Fashion Business Column