山中コンサルティングオフィス

Author Archives: yamanaka

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大手百貨店、外資系ブランドメーカー、大手経営コンサルタント会社を経て、コンサルタントとして独立。ファッションビジネスを中心に、雑貨などのライフスタイル、百貨店、SCなど、幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。グローバルコンサルティングの領域では、欧米、アジアのマーケット調査、アジア現地企業へのコンサルティング、日本企業の海外進出支援などを行っている。

【KLマーケット解説4】グレード分化が進むスーパーマーケット

マレーシアでは、スーパーマーケットのグレード分化が進んでおり、入居するスーパーのグレードで、ショッピングモールの格が決まるといわれているほど、ターゲット顧客の所得とスーパーの出店は密接にリンクしています。

一般的に、中高所得者層は中高級スーパー以上、中低所得者層は中級スーパーやハイパーマートを主に利用しています。例として、中級スーパーのザストアは主に地方で展開しており、首都圏には1店舗ずつしか開業していません。そのため、首都近郊の中低所得者層の一般的な買い物先はハイパーマーケットといえます。一方、マレーシアの高級スーパーは富裕層や外国人の多いエリアに限定して存在しています。

なお、ミニスーパーをのぞく全てのグレードでイスラム教徒に配慮し、非ハラルフードの売り場を区別しているため、スーパーのグレードによって顧客ターゲットの民族が異なることはありません。

◆グルメスーパー
クアラルンプールでは、伊勢丹 KLCC、香港GCHリテールが手がけるコールドストレージの上位業態ジェイソンズ、現地独立系ビッグがあげられます。青果、精肉、鮮魚、グロサリーの種類が豊富で酒類、ベーカリー、チーズ類も多く、輸入品を中心に高級な食材やこだわり品を扱っています。

(写真 ジェイソンズ)

(写真 ビッグ)

◆中高級スーパー
日本のイオン、香港GCHリテールの主力業態コールドストレージとメルカルト、現地大手のジャヤグロサリーなどで、国内外の流通大手が中心となっています。中でも急成長している現地の新興系ビレッジグロサリーは、クアラルンプールの有力ショッピングセンターに次々と出店、10店舗を構えており注目されています。グルメスーパー同様、青果、精肉、鮮魚、グロサリーの種類が豊富。輸入品、酒類、ベーカリー、チーズ類も扱っています。都市部を中心に展開しています。

(写真 メルカルト)

(写真 ビレッジグロサリー)

◆中級スーパー
現地企業のザストアが代表的な店舗としてあげられます。青果、精肉、鮮魚、グロサリー、ベーカリーを扱っていますが、種類は限定されています。地方や首都圏郊外を中心に展開しています。

◆ハイパーマート
英国のテスコ、香港GCHリテールが手がけるジャイアント、日本のイオンビッグなどです。ヨーロッパにあるハイパーマートと同じ業態で、超大型で低価格が魅力的です。郊外店舗の他にショッピングセンターのアンカーテナントとしても存在感を示しています。青果、精肉、鮮魚、グロサリーのほか、衣住飲食サービスまで総合的に品揃えしています。

(写真 テスコ)

◆ミニスーパー
現地企業のKK スーパーマーケット99 スピードマートなどで、コンビニエンスストアとのスーパーの間のような存在です。グロサリーを中心に品揃えしており、青果もおいていますが、精肉、鮮魚の取り扱いはほとんどみられません。

(写真 KKスーパーマーケット)

文:YRCG 編集:山中健

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【KLマーケット解説3】変革期を迎えるコンビニストア

マレーシアでは、コンビニエンストアは外資の参入は認められておらず、すべてローカル資本です。コンビニエンンスストアのマーケットシェア80%を抑えているとされるセブンイレブンもローカル企業がフランチャイジー運営しています。

いわゆる“パパママストア”やローカルチェーンにも至らない支店経営レベルのコンビニエンスストアも多く、また品揃えに関してサプライヤーへの交渉力が弱いことから日本と比べ見劣りするため全体的に業態進化が進んでいませんでした。

しかし、今後規制緩和されると期待されており、ファミリーマートも2016年に進出しました。ファミリーマート登場前は、セブンイレブンの独壇場だったマレーシアでのコンビニマーケットですが、現在変革期を迎えようとしていると言えそうです。

◆ファミリーマート

海外に6,000を超える店舗を有し、アジアでは圧倒的な存在感を示しているファミリーマート。畜産や水産加工などを行う食品製造を行う、マレーシアを代表する企業「キューエル・リソーシズ社」と組んで2016年に進出。クアラルンプール都市圏に20店舗を構えています。日本国内の品質に、ほぼ近く、清潔な空間と充実したMDが人気。キューエル・リソーシズ社の中食工場で一貫製造されたパンやサンドイッチ、おでん、中華まん、PB商品などが魅力です。クアラルンプールのパワーSC「メガモール」にある店舗は、MRT駅からの入口近くに立地し、大いに賑わっています。

◆セブンイレブン

マレーシアを代表するコングロマリットで、スターバックスなども手掛ける「ペルジャヤグループ」が、米国セブンイレブンのFC展開をしています。店舗デザインなどは日本のイメージに近いですが、運営レベルは日本と比べて低く、価格もスーパーと比べ割高。商品供給背景の違いにより、オリジナル商品も日本のように多くはありません。ただ、アリババの電子マネー「アリペイ」を導入するなど、市場リーダーらしい取り組みもなされています。

日本でいうミニスーパーもコンビニエンスストアにカテゴライズされることが多く、ローカル系では、同じ屋号でも立地・客層などにより品揃えや店構えを変えて、業態ミックスなどを行っています。KKスーパーマート、99スピードマートが、ローカルではよく見かけるストアブランドで、低価格が売りです。

駅構内やショッビングセンターの中などにはニューススタンドから進化したキオスク型のコンビニも多くなってきました。マイ・ニュース・ドット・コム、ニュースプラス、マグビットなどがそれに当たりますが、新聞スタンドを起源としているため、小型店舗が多いのが特長です。品揃えは、新聞・雑誌などが主力ですが、スナックや飲料、菓子、タバコなどの最寄り品も取り扱っています。

(写真 マイ・ニュース・ドット・コム)

また、車社会のマレーシアは、郊外のガソリンスタンドにコンビニエンスストアが併設されていることが多く、大手ガソリンスタンド企業も独自のコンビニスタンドを作り展開しはじめています。ムスラ・ショップ(ペトロナスが親会社)、セレクト(シェルが親会社)、トリーツ(ペトロンが親会社)などです。

マレーシアのガソリンスタンドは、コンビニやファストフード、ATM、郵便局などを備え地方では近隣型ショッピングセンター的役割を果たしています。石油メジャーの一角であるシェブロン(カルテックスブランドのガソリンスタンドを運営)が、セブンイレブンやバーガーキングと提携するなどの取り組みもみられます。

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文:YRCG 編集:山中健

【KLマーケット解説2】クアラルンプールの主要百貨店たち

マレーシアの小売市場では、欧米先進国や香港にあるような高級百貨店(例:バーニーズNY、ニーマンマーカス、ハーベイニコルズ)は存在せず、中高級百貨店と大衆百貨店に二分されます。中高級百貨店は、40代以上がメインの顧客となっており、アダルト層の衣料品が牽引しています。一方、メトロジャヤやKLそごうなどの大衆百貨店は、日本でいうGMS的な存在で、マレー色が濃いのが特徴です。

◆パークソン(Parkson)

地元系中高級百貨店の代表で、マレーシア国内に30以上の店を構えています。中国で57店舗以上展開して成功している他、ベトナム、インドネシア、ミヤンマーにも進出しています。近年は、韓国の「SPAO」や「MIXXO」のフランチャイジー事業も手がけています。

クアラルンプール出店先:パビリオン、KLCC、ファーレンファイト88 、スンガイワンなど10店舗
公式サイト: http://www.parkson.com.my

◆タングス(Tangs)
シンガポールの百貨店。洗練されたインテリアが特徴で、ファッションを得意としています。進出1号店となったパビリオンからワンウタマへ移転しました。現在、マレーシア国内に4店舗を展開しています。

クアラルンプール出店先:ワンウタマ
公式サイト: http://tangs.com.my

◆ロビンソン(Robinson)
シンガポールの百貨店。ミッドバレーの高級モール「ザ・ガーデンズ」のオープンと同時にアンカーテナントとして入居。シンガポールでは大衆百貨店路線をとっていますが、同店は中高級路線をとっています。

クアラルンプール出店先:ガーデンズ
公式サイト: http://www.robinsons.com.my

◆デベンハムズ(DEBENHAMS)
世界中に進出しているイギリスの百貨店、 デベンハムズのフランチャイズ店。大衆イメージが強い本国とは異なり、イメージ高い店舗を構えています。モール「ロット10」にあった店舗が、2012年にラグジュアリーモール「スターヒル」に移転オープン。クララルンプールの エンターテインメントモール「ザ・カーブ」、ペナンにも店を持っています。

クアラルンプール出店先:スターヒル、ザ・カーブ
公式サイト:https://www.facebook.com/MYdebenhams/

◆伊勢丹(KLCC)
伊勢丹のKLCC店は、2012年にリニューアルが完了。最上階にあった食品スーパーをコンコースに拡張移動し、集客の目玉としています。日系デパートならではのデパ地下が地元の人にも好評です。2016年には、ブギビンタンのモール「ロット10」の店をリニューアル。クールジャパン事業の一環として、「イセタン ザ ジャパンストア」 をオープンしています。

クアラルンプール出店先:KLCC、ロット10 、ザ・ガーデンズ、ワンウタマ
公式サイト:http://www.isetankl.com.my

◆メトロジャヤ(Metrojaya)
上場企業のメトロジャヤはサバ州など地方にも展開し、アウトレット店を含め7店舗を有しています。マレー色の濃い大衆百貨店。

クアラルンプール出店先:メガモール
公式サイト:http://www.metrojaya.com.my

◆KLそごう
日本のそごうが地元企業に売却した店舗。地元密着型のMDが特徴です。元日系百貨店のため日本の商品も取り扱っていますが、全体的にマレー色が強く、ハラル対応商品を多く販売しています。

クアラルンプール出店先:バンダラヤ駅前
公式サイト:https://www.sogo.com.my

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文:YRCG 編集:山中健

◆パークソン KLCC

◆パークソンが手がける韓国ブランドSPAO

◆イセタン ザ ジャパン ストア

【KL マーケット解説1】業態分化進行中

現在主要東南アジアの国々では小売店の業態進化と分化が進んでいますが、クアラルンプールやマレーシア他都市も同様です。これは、主要出店先であるモールの開発が進み、モールパッケージの進化と共に、小売店にも進化が求められているためです。ただ、ホームセンターなどの住関連の小売店など、日本などと比べて遅れている分野もあり、開発や外資参入余地もあると言えそうです。

1.百貨店
モール中心のマレーシアにおいて、百貨店は準核テナントにとどまっていることが多いようです。グレード別に見ると、パークソンや伊勢丹などの中高級百貨店とメトロジャヤやそごうなどの大衆百貨店に分かれ、大衆百貨店はGMS(総合スーパー)的役割を担っています。

2.スーパーマーケット
中間層が日常的に買い物をするのは、郊外にある超大型スーパーマーケット、ハイパーマート。テスコ、ジャイアント、イオンビッグなどがメジャープレイヤーです。他にもグルメスーパー、中級スーパーなど、ライフスタイル分化が進んでいます。

3.専門店チェーン
モールの主要テナントであるため、多くの小売企業で業態開発が進んでいます。香港を中心とするアジアプレイヤーが長年マーケットを牽引してきましたが、グローバルプレイヤーの進出により、その地位に揺らぎが見られます。

4.生業店
コンビニエンスストア、ミニスーパーなど政府の保護が厚い分野が残っており、他の分野とのレベル差が著しい状況です。しかし、この保護主義も緩和され、外資の参入がますます増えそうです。そのため、生業店が担っていた分野が大きく進化していくと予想されています。

次は、各業態の動向をレポートします。

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文 YRCG  編集 山中健

YRCGがクアラルンプールにオープンした「ISETAN The Japan Store」内のイベントスペース「CUBE_1」の運営及びマーケティング支援を開始

Yamanaka Research and Consulting Group Sdn Bhd(本社:クアラルンプール 以下:YRCG)は、マレーシアのクアラルンプールにオープンしたスペシャリティストア「ISETAN The Japan Store」内のイベントスペース「CUBE_1」の運営及びマーケティング支援を開始いたしました。

YRCGは、2015年にクアラルンプールに設立したコンサルティング会社で、これまで日本企業や政府機関などの依頼を受け、マレーシア市場のコンサルティングやビジネスマッチングを行ってまいりました。「CUBE_1」においては、現地でのSNSマーケティング、インフルエンサーマネジメント、会場運営などを行っていきます。

2016年12月より、落合陽一氏 初の個展「Image and Matter by Yoichi Ochiai Cyber Arts and Science towards Digital Nature」を開催します。

落合陽一氏は、2015年に、アメリカのthe WTN(World Technology Network)が技術分野の世界的研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」を受賞する快挙を成し遂げるなど、国際的な注目を集める若手研究者であり、メディアアーティストでもあります。YRDGは、同個展の会場運営及びマーケティング支援を行う予定です。

※三越伊勢丹ホールディングスとクールジャパン機構の合弁会社

YRCG会社概要
名称: YRCG/Yamanaka Research and Consulting Group Sdn Bhd

所在地:A2-19-3A (Suite 3), Level 19, Soho Suites @ KLCC, 20 Jalan Perak 50450 KL

Tel: 03-2181 7238

Fax: 03-2181 2996

E-mail:contact@yamanaka-consulting.com
HP: https://yamanakaconsulting.com
事業内容:ファッション業界・流通業界・SC業界へのビジネスコンサルティング

落合陽一氏 個展概要
個展名:「Image and Matter by Yoichi Ochiai Cyber Arts and Science towards Digital Nature」
会期:2016年12月11日(日) ~ 2017年1月14日(土)
開館時間:午前11:00 – 午後9:00 (最終入場 午後8:30)
* …

  • Posted: 11月 14, 2016
  • Tags: News

「買いたいと思わせる」マーケティングと「買える」MD

タイトルは、NYを歩いた時に思ったことです。今、NYで人気のファッションの店というのは、EC軸やWEB発の店が多いようです。そしてその店頭を見に行くと、そこに素晴らしい取り組みは特にありません。なぜ、このような店が売れるのか、NYでのリサーチでずっと考えました。

その答えとして、「買いたいと思わせる」マーケティンと「買える」MDにあるのではないかと思い至ることに。

これらの店の「買いたいと思わせる」マーケティングは、WEBやSNSを使って仕掛けられています。わかりやすいコンセプト、イメージの高いビジュアル、作り手のメッセージ。媒体に歪められることなく、ターゲットに届けています。WEB、SNS時代だからこそ、できることでしょう。

これまでは、プレス関係者や流通関係者を通してのみ、消費者に伝わっていました。途中にいるのは、ファションや流通のプロですから、彼らの考えに及ばないこと、またはメリットがないものは、そこで情報が遮断されてしまっていました。しかし、自社のWEBやSNSでしたら、しっかりと発信することができます。特にインディーズであれば、それがすべてですし、自由な発想と創造性で、「憧れ」をしっかりと描けているようです。

そして「買える」MD。コンセプトやターゲティングは尖っていながらも、大衆が買える商品構成がなされています。買い手を限定しないアイテムとデザイン、ECで売れる手頃価格、ロジカルに比較検討できる品揃え・・。それに、オムニチャネルと返品制度をしっかりと整え、どこへでも届き、どこからも返せる仕組み・・・。

この2つの要素がしっかりとなされている店が売れていたようです。

当たり前といえば、当たり前です。皆、それに取り組んでいるのです。しかし、その精度が違うのでしょう。

インディーズのWEB、ECプレイヤーは、リアル店舗と違って、黙っていたら誰も見てくれません。「買ってもらう」ことへのハングリー精神が違います。そこから、マーケティング手法が高くなっているのでしょう。

そして、初期コストが低い。売上目標も抑えられる。だから、コンセプトやターゲットも絞込みができることができるのでしょう。

有店舗の小売業は、「顧客第一」がモットーでしょう。それは正しいです。ただ、目の前のお客様の顕在ニーズに振り回されて、コンセプトがぼんやりすることが多いようです。

「買える」MDは、日本の小売業が得意としてきたことでした。しかし、その前に「買いたいと思わせる」マーケティングが、先にあげたプレイヤーと比べると弱いように思います。今、インディーズから学ぶことが必要なのかもしれません。

★関連記事 アパログ「2016年NYレポート5 NYレポート 活況はWEB発、EC軸へ」

SCの売上構成要素について考える

この春は、SCのお仕事や取材が多く、SCについて色々と考えることが多くなりました。

SCの売上構成要素は、小売業と同じに以下の8項目であると考えます。

1.立地(どの商圏に、どの立地に出店するか)
2.規模(何坪の店を出店するのか)
3.ロイヤルティ(SCのブランドの認知度アップ、ブランドアイデンティティの確立)
4.商品力(テナントミックス)
5.販促力(認知、集客、買上のためにどのような販売促進をするのか)
6.売場力(入店、買上のためにどのような売場をつくるのか)
7.接客力(SC全体での受け入れ体制、カスタマーサービスなど)
8.固定客化力(ポイントカード、アプリなどの囲い込み、自社ECへの誘導)

「1.立地」、「2.規模」は出店のときに決まってしまいます。これを見誤ると悲劇です。

「3.ロイヤルティ」は、会社全体で醸成していくものなので、時間がかかります。以前は、SCのブランドロイヤルティはそれほど、意識されていませんでしたが、今はこれに力を注いでいます。前は、ブランド力をアップして、リーシングをしやすくするために行っていることが多かったのですが、今は消費者への認知度アップ、ブランドイメージの統一を図っています。ららぽーとや三菱地所のCMへの積極性、JRグループの商業施設のブランド統合などは、このための取り組みです。

そして、「4.商品力」。立地、規模、ロイヤルティの力相応にテナントミックスすることが必要です。SCの商品力を方程式で表すと「アンカーテナントの力×テナント数×グレードカバー力×鮮度×テナント戦闘力+ストーリー+独自性」となります。

SCも3000館体制へ経て、ライフサイクルが成長期から安定期に移行し、上記方程式の後ろの方(ストーリーや独自性)へ重要度が移行してきています。横浜のマリン&ウォークや新宿のニュウマンは、それぞれストーリー性の切り口が秀逸だったと思います。

しかし、ここ1年にオープンしたSCは、立地・規模・ロイヤルティからするとちょっと背伸びしているチャンレンジ案件という気がしています。テナントリーシングしていた頃は、アベノミクスによる期待感があったでしょうし、インバウンドというゲタを履いたということもあったのだと思います。

先日、オープンした東急プラザ銀座を見ても、それを感じました。感じるストーリーは、グローバル&ラグジュアリー。銀座という1等地ですから、それは良いと思います。ただテナントミックスからすると、全体的にテナントが小粒なのとグレードカバー力が弱いように思います。どこか、香港や韓国、台北のラグジュアリーモールに近い、ファシリティとテナントのパワーもアンマッチ(すなわちファシリティのわりにテナントのパワー不足)を感じます。

また、最近の傾向としてアンカーテナントがこれまでのプライヤーとは異なる店。昔は、百貨店やGMSなどの総合大型店が核になり、ここ2000年以降は準核として専門大店を複数持つようになりました。そして最近は、専門大店とならんで、これまでSCにはなかったような業種・業態をアンカーテナントとして導入。東急プラザ銀座は空港型免税店、マリン&ウォークはフレッドシーガルと結婚式場、エキスポシティは新型アミューズメント施設。SCのテナントミックスが進化したともいえますが、小売業のパワーダウンの現れともいえそうです。

グローバル化と脱既存小売、脱ファションという中、SCの差別化要因を考える春でした。

文 山中健(YCO代表)

コクのあるMD ないMD

商品力は、以下の式で表わすことができます。

「商品力=全体量×アイテム数×価格幅×鮮度+ストーリー+独自性」

掛け算で表している「全体量×アイテム数×価格幅×鮮度×ストーリー」のどちらかが0だと、商品力は0になってしまいます。はずは、全体量、アイテム数、価格幅、鮮度が基本用件です。ライフサイクルが進んでいない商品や業態などで行う総合型MDでは、この要素だけですみます。

しかし、ライフサイクル後期となった現在は、差別化型MDをとる必要があります。そのためには、ストーリーや独自性を付加しなければなりません。お客様の半歩~1歩先を行き、お客様へ先回りして提案する業態です。「どんなファッションテイストの人物が、どのようなライフスタイルを送るのか」というストーリー性が大事なのです。

そして、現在は、それだけでは差異化ができません。

重要な付加要素として「オリジナルティ」が必要なのです。「よくできているけど、コクのない店」ってありませんか?そのような店は、送り手の主張が見えないからです。

成熟し、安定した現在、独自性による差異化が、商品力アップの黄金律なのです。

文 山中健(YCO代表)

10周年を迎えて

皆様、新年あけましておめでとうございます。皆様のますますのご健勝とご繁栄を祈念しております。

私は独立して10年を迎えました。大手コンサルティング会社「船井総合研究所」を退社し、フリーランスで活動を開始した時は不安だらけした。しかし、その時、クライアント企業の社長から、「このままコンサルタントを辞めてしまったらもったいない、絶対独立されるべきです」と背中を押していただき、なんとか10年間仕事を続けることができました。

これも、クラアイント企業の皆様、パートナーの皆様、ブログやコラム読者の皆様、SNSフォロワーの皆様、そして前職で厳しくお教えいただいた先輩方のおかげです。本当にありがとうございました。

この10年間、さまざまな業態、業務を行ってまいりました。それらを、振り返ると業界の変遷を感じざるを得ません。

最初のころは、ポストバブル期に成長してきたプレイヤーがSCを中心に出店拡大をしていた時期です。そのため、立地評価やミステリーショッパーなどで、出店や店頭対応の診断が多かったようです。

また、中国が伸びていた時期だったので、中国企業へのコンサルティングも数年間に渡り行いました。その後、経済産業省の「アジア消費トレンドマップ」作成業務を通じ、ASEANへの進出支援を行い、昨年はマレーシアのクアラルンプールに、「YRCG(Yamanaka Reserh &Consulting Group)を設立させていただきました。

国内でのコンサルティングでは、顧問契約、プロジェクト(診断、リサーチ)、研修の3つの形式を通じて支援をしてまいりました。研修は、この10年間安定した数の仕事をさせていただいておりましたが、昨年より支援の数が増えてきています。

コレクションや小売トレンド、海外、ウェブマーケティングの最新情報をお伝えする内容に加え、商売の原理原則を伝えるものが増えてきています。これも、高度化した業界内で組織の知を高めようという流れかと思います。

10周年を迎え、次の10年を迎えられるよう、精進していきたいと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。

文 山中健(YCO代表)

八百屋商売と呉服屋商売

洋服がライフスタイルの主役ではなくなってきている今、アパレル企業が異業種に進出するケースが増えているようです。
しかし、上手くいかないことも多く、その原因が長年の商売の体質に合わないため、というのもあります。

商売の体質とは何でしょうか。実は、商売の体質は経営指標に現れています。重要な指標が交差主義比率です。交差主義比率は、「粗利率×回転率」ですが、この粗利率と回転率のバランスが商売の形を示しています。

物販には、極端に言うと、「呉服屋商売」と、「八百屋商売」という2つの商売の形があると思います。「呉服屋商売」とは、回転率は低く、粗利が高い商売です。独自性のある商品を提供し、付加価値として、高い値入をするということです。ファッションはこのタイプが多いようです。

反対に「八百屋」商売とは、粗利は低いけれど、回転率が高いという商売です。いわゆる薄利多売というものです。こういうと聞こえが悪いですが、常に新鮮な商売ができているということです。生鮮食料品のビジネスはこちらが多く、スーパーマーケットなどがこのタイプです。

もちろん、「粗利率」「回転率」ともに高いのが、最もよいのですが、外食がこのタイプが多いですね。そのため、アパレル企業が参入するのでしょう。このようなタイプは、人件費をはじめとする販管費を効率に使う力、オペレーション力が物を言います。ファッション企業は、「呉服商売」なので、このあたりが苦手な企業が多いようです。

ファッションの業態でも、商売の体質が違う場合があります。インポートのラグジュアリーブランド、セレクトショップなどは「呉服屋商売」、衣料スーパーやヤングカジュアルショップは「八百屋商売」の体質に近いところが多いようです。

また、同じ業態の中にも、「呉服屋商売」と「八百屋商売」が混在していることもあります・

なので、仕入をする前の数値分析では、自店がどちらの商売の形なのかを捉えるとともに、自店の商品構成の中に、2つの商売の形が混在していますので、アイテムやブランド別に分析をしていくことが必要です。

どのアイテム(もしくはブランド)が、「呉服屋」なのか、それとも「八百屋」なのかを見極め、「呉服屋商売」と「八百屋商売」の構成比を決めていくということです。

例えばセレクトショップでは、インポートブランド、ファクトリーブランド、重衣料などは「呉服屋商売」、機動力のある当座買いメーカーや軽衣料が「八百屋商売」であることが多いようです。

「八百屋商売」の色を強める(=回転率をあげる)ということは、頻度品、客数アップを狙うということになりますから、軽衣料を中心とした「単品」比率が高まります。しかし、それだけでは、単価ダウンになりますから、「単品組み合わせ」のスタイリングを打ち出すことが必要となります。また、回転率があがるということは、商品投入回数を増やすということですから、高頻度仕入が可能な仕入先を増やしていかなければいけません。

そして「呉服屋商売」の色を強める(=粗利をあげる)ということは、目的品、単価アップを狙うということになりますから、「ブランド品」「高額品」「重衣料」の比率が高まります。スタイリングとしては「大人」「高級」もしくは「個性」を意識したものになります。
1年ぐらいまでは、この傾向の仕入れをしていた店が多かったですよね。時流に乗ったブランドを、よい条件で取引できる店は、よいのですが、今の景況からすると、自店に独自性を見出してくれる顧客数を確保できていることが、最大の前提条件となります。

しっかりと自店の「商売の形」を知り、戦略的な仕入れを行っていきましょう。

文 山中健(YCO代表)

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