出店場所とパートナー選び
香港、マカオの出張からマレーシアに帰ってきました。つい2週間ほど前に、香港、マカオ、そして中国の珠海を結ぶ世界最長の橋も開通し、ますます人やビジネスの往来が増えそうです。全長55キロの橋を実際に渡り、マーケットもみてきました。
4年前、香港の上場企業とビジネスを始めた際、カウンターパートだった方が新規ビジネスの責任者になりました。
マカオには、アーモンドクッキーやピーナッツ飴を販売するおみやげ屋さんのモンスターのような店があります。観光地に行くと、多くの人たちがこのお店の買い物袋を手にしているのを見かけます。
これに対抗するために、香港企業は創業90年近くになる老舗ブランドですが、当時すでにビジネスをほぼ休止していた会社を買い取り、再生させるというプロジェクトに乗り出しました。
家族経営の小さなお店からレシピを得て、契約をがっちり固めたところで工場を作り、パッケージデザインを洗練させ、商品ラインナップを増やしました。そして、モンスターブランド旗艦店のはす向かいに1号店をオープンさせたのです。
この旗艦店は、有名な観光スポットの最高立地にあります。狭いプレミアムエリアなので、新規出店は容易ではありません。はす向かいで何をやったかというと、香港企業は2階建てのビルごと借り上げ、おみやげ屋さんとライセンスを持つカフェを併設して出店したのです。
売り上げをとることもそうですが、香港企業が最もほしいのはブランドの発信力です。ライバルの旗艦店があるプライムロケーションをとることで、その効果を期待していました。
4年経って、店舗数は13店舗になっていました。国際空港のおみやげ売り場にも商品が並んでおり、いずれも良い立地を抑えています。世界的に有名なアニメキャラクターとのコラボ商品も販売しています。
戦略的に計画された出店は、ここまでは非常にうまくいっています。
一方で、日本企業が海外でビジネス展開をするとき、良い立地を得ることは容易ではありません。的確な情報を集めることも大変ですし、実績を重視するデベロッパーさんは、1号店の出店にはなかなか良いロケーションをオファーしてくれません。
ほとんどの場合、固定家賃と売り歩のハイブリッドなので、良い場所には売り上げを実証できているブランドをおきたいからです。
美容、教育、エンターテイメント、飲食分野などで日本企業の出店を多くサポートしてきた YRCG の強みは、有力なデベロッパーさんと実績を築いたことで、テナントさんの動向や売り上げの推移、物件の情報を可能にしたことだと考えています。
こうした情報収集力や交渉力を、貴社の出店戦略に役立てることができれば幸いです。
ちなみに世界最長の橋を渡った際には、非常に稀な経験をしてきました。バスを待つ間、その列はどんどん伸びていきます。乗車券は前売りなので、全員が乗れるはずです。
ほどなくしてバスが到着したのですが、なかなかの人数が乗っています。人が降りる気配もありません。不安が募ります。
すると、さきほど乗車券を確認していた係のおじさんが、「残念ですが、2人乗車できません」と言ったのです。
この瞬間、列は崩れ、我先に乗車口に向かい出します。なんとか満員のバスに乗り込むことはできましたが、1人乗車できなかったお客さんが、窓の外で係員ともめています。
なぜ、1人だけだったかというと、カップルが最後尾の5人掛けを無理やり6人掛けにして、そこに収まったからです。そのままバスは15分ほど走り、マカオを出る際にイミグレーションの手続きをするために全員がいったん降車します。
再びバスに戻り座席について待っていると、1人の乗客がドライバーさんともめています。
席がないのです。
カップルが次は最後尾ではなく、別の2人掛けに仲良く収まり、5人掛けシートには5人が座ったため、ここで1人はじき出されることになったのです。
どうやって説得したのか分かりませんが、補助席のないバスは満席の状態で再び走り出しました。
どうか次のバスが満席ではありませんように・・・と祈るしかない。とても、バスを降りた人に目を向けることはできませんでした・・。
YRCG マレーシアオフィス
石橋正樹