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マレーシアのリスク

マレーシアのリスク

最悪のシナリオになる可能性はほぼないと思うのですが、今日はマレーシア政治のある意味もろくもあり、舵取りが難しい部分について書いてみます。

ここ1週間、象徴的なできごとが2つありました。

1つは、第11次マレーシア計画の中間報告が経済省主導で行われたこと。そして2つ目は、ナジブ政権時の元副首相がマネーロンダリング法違反など45の罪状で起訴されたことです。

この国最大のリスクは、民族間の衝突だと思います。

最悪のシナリオへの序章があるとすれば、建国以来中核与党の座にありながら政権交代後急速に力を失ったマレー系民族政党の UMNO が極右化すること、または、現与党連合が分裂して、その UMNO とタッグを組む展開でパワーバランスが崩れることかもしれません。

政権交代後に発足した第2次マハティール政権でおそらく組閣最大の目玉だったのは、華人系のリム・グアンエン氏を財務相に起用したことだと考えます。

州首相時代にペナンの財政を立て直した手腕には定評がありましたが、連立与党の中核政党出身でもなく、マレー系でもない同氏が重要ポストに就いた際には批判の声も少なくありませんでした。

民族を超えて適材適所で有用な人材を配置するマハティール首相ならではの絶妙の采配だったと言えます。連立与党に不協和音が入ると、火種になりかねない人事だからです。

このバランス感覚が現政権の重要なくさびの役割を果たしています。その点を踏まえた上で、ここ1週間のできごとに話を戻します。

第11次マレーシア計画は、2020年までの政府方針を示す5カ年計画です。これまでは、歴代首相直属の特別機関と財務省が主体になって策定をしてきました。経済省が主導的立場になったのは、おそらく初めてです。しかも、今回はナジブ政権時(2016年)に策定された計画を見直すわけですから、新政権の方針に注目が集まる大仕事です。

担当大臣のアズミン・アリ氏は、中核与党「人民正義党」のナンバー2の座にあります。人民正義党では近く党内選挙の結果が出る予定で、対立候補のなかったアンワル氏の党首はすでに確定。アズミン氏は、長年のライバルであるラフィジ・ラムリ氏とポストを争っています。

万一、アズミン氏が破れた場合、党内での重要な立場を失う訳ですから、マハティール首相としては政権内で経済省の格上げを図る狙いがあったのかもしれません。選挙結果がすぐに分裂要因につながるとは思えませんが、国政に復帰したばかりのアンワル氏に政治家としてどれほどの求心力が残っているかは未知数です。

UMNO を熟知したマハティール首相にとって、その最大の脅威は資金源だと考えているのではないでしょうか。このブログでも書きましたが、UMNO と政府は43億リンギをめぐって法廷で争っています

汚職で起訴されたアフマド・ザヒド元副首相は、UMNO の現総裁です。起訴状によると、Myeg と Datasonic の2社を通じて多額の不透明なお金が流れたとされています。Myeg はあらゆる政府サービスや各種税金、罰金の支払い窓口。Datasonic はマレーシアのパスポートに埋めるチップの独占供給会社です。

資金源が絶たれて UMNO がさらに弱体化すると、リスクにつながる少なくとも1つの道は、回避できるのかもしれません。

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石橋正樹

About the author...

通信社勤務を経て、2004年にマレーシアでビューティー事業会社設立。アジア各国メディアとの人脈と起業経験を生かし、商業施設リサーチ、ビジネスマッチング、販促マーケティングでコンサルティングを行う。美容室 76 STYLE を経営するほか、美眉 & 美まつ毛専門サロン3店舗、飲食業4店舗のアジア出店を支援、実現した。また、日本企業のフランチャイズ展開を香港、マカオ、東南アジアで現地企業との間でまとめた。

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