【ファッションビジネス 商売の原理原則】経営環境と価格幅
プライスMDでの悩める点として、「価格幅をどれだけもつか」というものがあります。価格幅は絞りこんだ方が効率はよいのですが、絞りこみすぎるとチャンスロスが起きる恐れもあります。
価格幅は、店舗の経営環境によって変える必要です。考慮すべきポイントとして以下の3点があります。
1.商圏人口
2.取扱商品の購買頻度
3.商圏内における自店のポジション
の3点です。
順に説明してまいります。
1.「商圏人口が多ければ価格幅を狭く、商圏人口が少なければ価格幅を広く」
商圏人口が多い店舗は、価格幅を狭くもち、自店の得意とする価格帯に集中することが必要です。なぜなら、商圏人口が多いということは、競合相手が多いということです。このような競合環境が激しい状況では、お客様がそれぞれのブランドや店舗に対して買い頃価格を決めていることが多いのです。そのため、自店への期待が多い価格へ集中することが必要なのです。逆に商圏人口が少ない場合は、競合店が少ないことが多く、周辺住民の期待が自店へ強まりますので、幅広い価格の商品を求められることが多いのです。
2.「取扱商品の購買頻度が高ければ狭く、低ければ広く」
購買頻度が高い商品を扱っているのであれば、お客様の買い頃価格が決まってきますので、価格幅を絞りこむことができます。ただし、購買頻度が低くなるとお客様の買い頃価格が定まりにくくなるため、幅広く持つことが必要になります。例えば、ドレスシャツよりシューズ、キャミソールよりフォーマルドレスの方が価格幅を広く持つ必要があります。
3.「自店のロイヤルティが高ければ価格幅を広げられる」
商圏内一番店になることができれば、価格幅を広げることができます。一番店になれば、フリー客の来店が増えます。「新宿だったら伊勢丹」、「恵比寿でOL系だったらアトレ」というように、初来街の方でも頭の中に思い浮かぶような存在になると、幅広い層のフリー客を集客できます。そのような存在になれば、幅広い価格帯を取りそろえることができるでしょう。逆に、まだ知名度が低い段階であれば、自店の既存顧客が支持していだいている価格帯をしっかりと取り揃え、価格幅は絞りこみ、店の成長に合わせて広げていくことが得策です。
自店の商圏、取扱商品の購買頻度、そして商圏内における自店のポジションを冷静に見極め、一番支持していただいている価格を軸に広げるべきか、絞りこむべきかを決定していきましょう。
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