「買いたいと思わせる」マーケティングと「買える」MD
タイトルは、NYを歩いた時に思ったことです。今、NYで人気のファッションの店というのは、EC軸やWEB発の店が多いようです。そしてその店頭を見に行くと、そこに素晴らしい取り組みは特にありません。なぜ、このような店が売れるのか、NYでのリサーチでずっと考えました。
その答えとして、「買いたいと思わせる」マーケティンと「買える」MDにあるのではないかと思い至ることに。
これらの店の「買いたいと思わせる」マーケティングは、WEBやSNSを使って仕掛けられています。わかりやすいコンセプト、イメージの高いビジュアル、作り手のメッセージ。媒体に歪められることなく、ターゲットに届けています。WEB、SNS時代だからこそ、できることでしょう。
これまでは、プレス関係者や流通関係者を通してのみ、消費者に伝わっていました。途中にいるのは、ファションや流通のプロですから、彼らの考えに及ばないこと、またはメリットがないものは、そこで情報が遮断されてしまっていました。しかし、自社のWEBやSNSでしたら、しっかりと発信することができます。特にインディーズであれば、それがすべてですし、自由な発想と創造性で、「憧れ」をしっかりと描けているようです。
そして「買える」MD。コンセプトやターゲティングは尖っていながらも、大衆が買える商品構成がなされています。買い手を限定しないアイテムとデザイン、ECで売れる手頃価格、ロジカルに比較検討できる品揃え・・。それに、オムニチャネルと返品制度をしっかりと整え、どこへでも届き、どこからも返せる仕組み・・・。
この2つの要素がしっかりとなされている店が売れていたようです。
当たり前といえば、当たり前です。皆、それに取り組んでいるのです。しかし、その精度が違うのでしょう。
インディーズのWEB、ECプレイヤーは、リアル店舗と違って、黙っていたら誰も見てくれません。「買ってもらう」ことへのハングリー精神が違います。そこから、マーケティング手法が高くなっているのでしょう。
そして、初期コストが低い。売上目標も抑えられる。だから、コンセプトやターゲットも絞込みができることができるのでしょう。
有店舗の小売業は、「顧客第一」がモットーでしょう。それは正しいです。ただ、目の前のお客様の顕在ニーズに振り回されて、コンセプトがぼんやりすることが多いようです。
「買える」MDは、日本の小売業が得意としてきたことでした。しかし、その前に「買いたいと思わせる」マーケティングが、先にあげたプレイヤーと比べると弱いように思います。今、インディーズから学ぶことが必要なのかもしれません。